発達障害の子の勉強「実験タイム」でガラッと変化 宿題時間が「イライラに耐える苦行」ではなくなる

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私の嫌いな言葉の1つに「愛情不足」があります。

「お母さん、お子さんは愛情不足でこんな困った行動をしていますよ。もっと愛情を示してあげてください」と言われて、「一生懸命やっているのに何も変わらない」「これ以上何をしたらいいの?」と泣いているお母さんを何人も見てきました。愛情不足を口にする人に、「お父さん、愛情が足りないですよ」と言う人がいないのも気になります。

ほとんどのお母さんは、心身をすり減らしてがんばっています。愛情は不足していません。ただ子どもにとってわかりにくい、届きにくい、受け取りにくい、意図と違うものが届くパターンに陥っている可能性があるかもしれません。

「ポジティブな例外」を見つける

保護者の皆さんは、子どものことをよく見ています。「〇〇をやったあとだと落ち着いて取り組んでいるな」「私が△△な言い方をすると荒れることが多いな」など、パターンが見つかれば必要のない争いが減り、勉強に集中できるヒントが見つかります。

たとえば、学校から帰って宿題のことを聞くと、すぐに不機嫌になってしまう子どもがいたとします。保護者は、その様子を見てイライラしたり、「もしかしたら勉強が難しいのではないか?」と心配になったりします。

そして、子どもが学校で困らないように「ほら、早く! 宿題をやってから遊びなさい」と言ったりします。この子と保護者のパターンは【学校から帰る→保護者が宿題をやるように言う→子どもが不機嫌になる→保護者も不機嫌になる→保護者にイライラされながら宿題をやる】です。

ある日、たまたま子どもが学校から帰ったあとに、おやつを出しておしゃべりをしたとします。そうすると、なんとなく「宿題でもやるか」という雰囲気になり、子どもが宿題をやったとします。これは、いつものパターンから外れた「例外」ということになります。

そこで、今度は保護者が意図的に、学校から帰っておやつを出しておしゃべりをしてみたら、やはりなんとなく宿題に向き合える。この場合、この子にはもしかしたら【学校から帰る→おやつを食べながらおしゃべり→宿題をする】というパターンが合っているのかもしれません。

これは、説得したり、教示したり、子どもの性格が変わったりしたのではなく、パターンを変えたことによって行動や心持ちが変わったのだといえるでしょう。お互いのイライラや不機嫌もなくなるので、そのあとの夕ごはんやお風呂、明日の準備、就寝にもよい影響を及ぼしそうです。

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