金融庁、ビッグモーターと損保各社に報告命令へ 損保ジャパンには立ち入り検査の実施で調整

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中でも問題と見ているのが、2022年7月のビッグモーターとの取引再開である。

ビッグモーター側の自主調査によって、関東地域の4つの工場で水増し請求が発生していることが明確になったのは、2022年6月末のこと。

取引のある損保ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社は複数の工場で不正が発覚したことで、組織的関与の疑いを強めるとともに、水増し請求被害の全容解明に向けて、追加調査の必要性についてそれぞれ社内で議論していた。

自動車保険の販売代理店でもあるビッグモーターと、それぞれ年間数十億円の取引がある3社が一丸となり、不正請求に対して毅然と対応するかに思われた。

損保ジャパン役員が兼重社長と面談

だが、7月中旬になると風向きが大きく変わる。

損保ジャパンが不正請求問題について組織的関与はないと早々に結論づけ、突如として「幕引きするかのような対応をとりはじめた」(大手損保役員)からだ。

実はその7月中旬、ビッグモーターの兼重社長は損保ジャパンの首都圏営業担当の役員を訪ねている。その面談を境に、ビッグモーターへの対応方針が大きく変わったとみられる。

保険金水増し請求をはじめとしたビッグモーターの不正行為は、社長、副社長の辞任で幕引きを図れるような事案ではない(7月25日の記者会見での配付資料より)

兼重社長との面談から3日後、ビッグモーターは東京海上と三井住友海上の自賠責の取り扱いを一部で停止するよう指示している。

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