中古車販売大手ビッグモーター(東京都港区、兼重宏行社長)による保険金の不正請求問題をめぐって、損保ジャパンが苦しい立場に追い込まれている(詳細はこちら)。
損保ジャパンは不正請求が発生した原因について、限定的な調査しか実施していなかったにもかかわらず、ビッグモーター側の主張をほぼ全面支持するかたちで「修理作業者のスキル不足や事務手続き上の連携ミス」などと整理。不正請求の組織的な関与はなかったと早々に結論付けることで、一部で止めていたビッグモーターとの取引をいち早く再開していた。
ところが今、ビッグモーターの社員らの証言によって、不正請求をめぐる組織的関与の疑いが日増しに強くなってきている。結局、9月に入り取引を再び停止したが、損保ジャパンとして大きな矛盾を抱え込むことになり、さらにほかの大手損保から「ビッグモーターと何か癒着しているのではないか」と勘繰られる状況に陥っている。
こうした批判に、損保ジャパンから反論があってもおかしくないが、そうした声はまだ聞こえてこない。それは、不正請求をめぐるこれまでの言動について整合性がもはやとれなくなり、説得力のある説明ができなくなってしまっているからだろう。
実態調査の問題点
これまでの経緯を振り返りながら、損保ジャパンの対応における問題点を改めて整理していこう。まずは、冒頭でも触れた不正請求の実態調査に対するスタンスだ。
ビッグモーター側の自主調査によって、関東地域の4つ工場で不正請求が発生していることが明確になったのは、6月末のこと。取引のある損保ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社は複数の工場で不正が発覚したことで、組織的関与の疑いを強めるとともに、不正請求被害の全容解明に向けて、追加調査の必要性についてそれぞれ社内で議論していた。
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