金融庁、マニュライフ生命保険に行政処分発動へ アフラックに移籍した旧経営陣の責任も明記
金融庁は月内に、外資系生命保険大手のマニュライフ生命保険に対して、保険業法に基づく業務改善命令を発動する方向で最終調整に入った。
2022年2~6月まで4カ月間にわたり、同社に立ち入り検査を実施し、租税回避行為を指南するような営業手法や「節税保険」の販売実態を調べていたが、現経営陣をはじめとして不適切営業における組織性や悪質性が高いとみている。
業務改善命令が出れば、節税保険をめぐる行政処分としては初めてとなる。生保会社への行政処分としては2019年のかんぽ生命保険以来、約3年ぶりとなる見通しだ。
生命保険の名義変更で租税回避
金融庁が問題視しているのは、「低解約返戻金型逓増定期保険」という法人向け商品を利用した租税回避行為だ。同商品は契約からおおむね5年が経過すると、契約者が受け取る解約返戻金が大きく跳ね上がる仕組みになっている。
その仕組みを利用して、契約者は5年目になる直前に契約の名義を、法人から役員個人に変更し契約を譲渡。そうすると、返戻金は税制上は個人の一時所得として扱われることになり、役員報酬などとして金銭を支払うときと比べて、所得税の負担を大きく軽減できる、というからくりになっている。
節税効果を出すには、法人から個人への名義変更手続きをピンポイントのタイミングでおこなう必要があるものの、営業職員が何らの資料もなしに、そのからくりを口頭だけで説明し契約者に理解してもらうのは容易ではない。
そのためマニュライフ生命は、名義変更による節税のからくりを記した「指南書」を内々に作成し、販売代理店などに配布しながら拡販に汗を流していた。
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