産後うつで2カ月入院「助けて」ママ友に出せたSOS マシンガンズの滝沢秀一さんの妻友紀さんが語る「産後」

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友紀さんは産後うつ克服後、夫の著書『ゴミ清掃員の日常』の作画を担当し、48歳で漫画家になった。今春、長男は小学5年生、長女は小学1年生になり、子どもたちの成長を見守る日々を過ごしている。産後うつを体験した友紀さんが考える、本当に必要な産後のサポートとは何だろうか。

友紀さんは48歳で漫画家になった(@tokyo_sukusuku

「高齢出産が増加している今、祖父母に頼れない家庭も多くなっているのでは。産後の心身がつらいとき、迅速にサポートを受けられる仕組みが必要だと感じています」

友紀さんが産後サポートを依頼した際は、すぐに助けてほしくても事前面談や書類記入が必要なケース、数週間後しか空きがないケースが多かった。とくに書類は、「切羽詰まったときに大量に記入するのは負担が大きい。サポート後、落ち着いて書かせてもらえるとありがたい」と話した。

また、当時は乳児院がどんな施設か知らなかった友紀さん。「乳児院についてよく知っていたら、もっと早い段階で、数時間や数日預ける判断ができたと思う。安心して預けられる場所がもっと開かれた場所になれば、困っている人の選択肢が増えるのでは」と話す。

育児における夫婦のあり方も、産後の負担を左右する。友紀さんは「夫婦だけで育てようとし過ぎず、たくさんの人に育ててもらうという視点を夫婦で持つことも大切だ」と言う。

出産前に、万一のときに頼る人やサービスについて夫婦で意思統一しておけば、産後つらくなったときパートナーに気を遣わずに頼ることができる。「パートナーが家事育児の一部を担うだけでなく、夫婦で育児の方向性を共有しているだけで気が楽になる」と言う。

仕事で不在がちだった夫の秀一さんも、友紀さんの産後うつの経験を通して「夫婦で一緒に家事育児をすること」の大切さを実感し、反省したそうだ。現在は、忙しい合間をぬって、ゴミの分別や洗い物など気付いた家事をこなし、子どもたちともよく遊ぶお父さんだという。

助けたいと思っている人はたくさんいる

かつて友紀さんが助けを求めたママ友は、後日「助けを求めてくれて、ありがとう」と話したそうだ。実は友紀さんが助けを求める少し前、ママ友は産後うつで知人を失っていた。

「人に頼っても、罪悪感を持たなくていい。『困っている人を助けたい』と思っている人はたくさんいるし、多くの人に助けてもらった私も、『今度は私が誰かを助けたい』と思っています」

産後うつは、産後の女性の10人に1人が発症すると言われている。頼れる人を作っておくこと、万一のときに頼る場所や人について夫婦で話し合っておくことが、産後の心身を守る第一歩になる。どうか、産後の夫婦は周囲のサポートをフル活用して、産後の心身を労ってほしい。

笠井 ゆかり フリーライター

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かさい ゆかり / Yukari Kasai

1986年生まれ。大阪府出身。神戸大学法学部法律学科卒業。2009年、NHKに入局し、地方局で司法・警察取材を担当。生命保険会社への転職後は、代理店営業やコンプライアンス部門のリスク管理業務に従事。結婚を機にWEB関連会社のライターとなり、2020年からフリーライターとして独立。1児の母。Twitter:@nyagaWEB1

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