「生成AI」登場でキャリアに過去最大級の好機到来 「世界にリセットがかかった」【澤円×木内翔大】
——お二人はすでに、さまざまな生成AIツールを使っているということですが、生成AIをビジネスで活用する企業がさらに増えていくと、エンジニアに求められるスキルはどのように変わると思いますか?
「AI・上流・対人」スキルの重要度が上がる
木内:今後エンジニアには、AIスキル、上流スキル、対人スキルの三つが必要になると見ています。
AIスキルについては、コーディングツールを上手に使いこなすこと。
これからは、あらゆる開発現場で生成AIと壁打ちしながら仕事していくことが当たり前になるはずなので、AIとのコミュニケーション能力、AIに適切に問いを投げる力、正しい指示を出す力が重要になってくるでしょう。
上流スキルについては、言うまでもありません。AIシフトが進めば、人間は単純作業や反復性の高い業務から解放され、より複雑で創造的な仕事をすることが求められるようになる。
エンジニアで言えば、コーディングなどの業務ではなく、設計やマネジメントなどの上流業務を担うことがより期待されるようになっていくと思います。
木内:対人スキルについては、AIの生産性が上がっていく中で、人間の強みとして、人対人のコミュニケーションの重要性が相対的に高まっていくということです。
生成AI革命の最大のインパクトとは、UIが自然言語になったことでしょう。
人間のコミュニケーション能力をUIとして捉えると、一人一人が自分のUIを磨いて使いやすいUXを作っていかないと、それもコンピューターに代替されてしまう可能性さえあると思います。
この三つは、どの業界で働くエンジニアにおいても共通して必要なスキルになるはずです。
澤:今後エンジニアにとってますます重要になるスキルに関しては、まさにおっしゃるとおりだと思います。
さらに大切なのは、狭い範囲で単体スキルのレベルを競うのではなく、これらのスキルをどう組み合わせるかですよね。
例えば、10万円のシャツを持っているだけではおしゃれだとは言えなくて、ワードローブにある他の服と組み合わせて自分らしさを出していって、はじめておしゃれな人と言われる。
ここでいうシャツがスキル、組み合わせることがセンスであると考えています。
先ほどお話しした「主語を間違えない」という話に通じるのですが、僕は木内さんが挙げてくれた三つのスキルを、皆がフルスタックで持つ必要はないとも思っていて。
どれも重要なスキルであると認識しながらも、自分には何ができるのか、どの分野で他者に貢献するのか、組み合わせをよく考えてみてほしい。
「時代が求めるから」ではなく、自分を主語にして、自分の得意な分野、努力が苦にならない分野のスキルを磨いていけば、それを生かせる場は必ずあるはずですから。