中野 恐らく、この10年間では最高の就職環境じゃないですか。
藤野 もちろん、ミスマッチがあるのは事実です。一部の企業には大勢の入社希望者が集まるのに、人気のない企業には全く人が集まらないという現象が、あちらこちらで起っています。そういう意味では、人気企業ばかりを受け続けた挙句、「お祈りメール」ばかり受け取っている学生もいます。
渋澤 お祈りメールって?
藤野 企業から「今回は残念ながらご縁がありませんでしたが、あなた様の今後の健闘をお祈り申し上げます」というような内容のメールが届くのですよ。内定が取れないとね。だから、お祈りメール。
まあ、超メジャーな企業ばかりを受け続けた挙句、非常に厳しい状況に追い込まれた場合は、中堅どころで面白そうなビジネスを展開している企業も受けてみると良いかも知れません。昔に比べて、就職活動している学生は大企業志向が強くなっているので、中堅企業の方が内定は出やすいはずです。まあ、そこも情報のミスマッチがあるのでしょうね。
イノベーターと超保守派、両方が増えている
中野 大企業志向は本当に強くなっているようですね。
渋澤 世代のトップ層の若い人たちは、今も昔も、自分のやりたいことを自分で考え、実行に移し、しっかりとした成果を出していくわけですが、それが出来るのはほんの一握りの人たちです。逆に、それ以外の大部分の人たちが、就職先人気ランキングの上位を目指してしのぎを削っているというイメージでしょうか。まあ、今にして思えば、自分もそうだったのですが。
藤野 僕のイメージは、10年前には0.5%程度だったイノベーターが、今は1.5%くらいになってきたというもの。だから、そこだけ見ていると、イノベーターが3倍にも増えたということになりますが、一方で超保守的な人たちも、10年前は6割程度だったのが、今は8割程度まで増えています。
中野 確かに保守化が進んでいるのは事実ですね。
藤野 うん。ただ、世の中を創っていくのは、1.5%のイノベーターたちですから、経済が良くなり、チャレンジャーが3倍になっているのは悪い話ではありません。
一方で、問題視するべきなのは、カモになるかも知れない人が増えていることでしょうね。これ、就活生にも当てはまると思うのですが、周りの情報に振り回されて、結局は他の人と全く同じ格好、同じ行動様式で就職活動をしてしまう。つまり自分の考えがそこにはない。それでは、グローバル時代に活躍できるビジネスパースンになるのは難しいでしょう。
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