なお、三井住友カードでたまるのは、2024年にTポイントとの統合が決まっているVポイント。新しいVポイントは、全国約15万店のTポイント提携先や、世界1億店以上のVisa加盟店で使えることになる。新Vポイントがスタートすれば、どの決済サービス・ポイントプログラムにとっても脅威となるだろう。
三菱UFJニコスも同社発行カードで、セブン‐イレブンにて3回以上のVisaのタッチ決済を利用すると、もれなく20%をキャッシュバック(上限500円)するキャンペーンを7月31日まで実施する(一部対象外のカードあり、Apple Pay・QUICPayは還元の対象外)。
このように、各クレカがタッチ決済・コンタクトレス決済普及にかじを切っているのは間違いない。ユーザーにとっても、かざすだけで決済が済むのは手軽だ。スマホのウォレットに登録しておけば、財布からカードを出す必要もない。
Visaによれば、コンビニでのカード払いのシーンでは、2件に1件(2023年3月末現在)がタッチ決済で行われており、その件数は2年間で約10倍にも伸びているという。また、公共交通機関の運賃をタッチ決済で支払う実証実験も全国で進んでいる。じわじわとクレジットカードの攻勢が強まっているのだ。
「経済圏」との付き合い方にも注意が必要だ
コロナ禍が日本のキャッシュレス化を加速させたことは事実だ。さらに、物価高への対抗として、効率よくポイントを貯める「ポイ活」にも注目が集まった。しかし、決済はそれだけではさして儲からないビジネスだ。生活シーンに浸透していき、少額貸し付けやリボ払いで手数料を稼いだり、グループ金融に誘導して投資商品を購入してもらったり住宅ローンを組んでもらうことがゴールとなる。
ポイント還元はそのための入り口に過ぎない。通信や電気の契約、保険や住宅ローンなど、特定の経済圏にハマればハマるほど抜け出しにくくなる。たとえ不利な条件変更が行われても、身動きが取れないことになりかねない。
最初はユーザーに大盤振る舞いをしても、いつかは回収のフェーズに移る。ユーザーへのサービスは、ユーザーのためのみにあらず。「これが一番オトクです」は、あっさり変化する。還元率も還元対象となる店やサービスもどんどん変わる。
キャッシュレスサービス間の競争が激しくなるほど、その変化スピードはますます速くなるだろう。今回のPayPay騒動は、それが可視化されたともいえる。この先は、「経済圏」には片足だけ入れておく――くらいがちょうどいいのかもしれない。
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