PayPay騒動は序章?キャッシュレス勢力図の未来 ポイ活民困惑?強まるクレカの攻勢

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とはいえ、決まったことは決まったこと。まさか方向転換があるとは、誰も想定していなかっただろう。6月22日の新たな発表では、8月1日予定だった他社カードの解除は2025年1月に延期するとし、「一部のユーザーを困惑させる結果となったことを反省しております」との、“申し訳ありませんでした”モードにトーンダウンしている。もしかして、生成系AIが添削したのだろうか。

PayPayは決済シェア最強なのに、怯んだ理由とは

どんなキャンペーンを打ち、どの属性のユーザーをその対象にするかは、あくまで企業が決めることだ。決済ルートもまたしかり。PayPayブランドのカードを作ってくれないライトユーザーの不満に左右されることなど、本来はないと思われる。それがなぜ怯んだのか。

PayPay登録ユーザー数は2023年4月時点で5700万人を突破。7月10日に出したリリースでは、キャッシュレス推進協議会が公表した「コード決済利用動向調査」にて、2022年の国内コード決済におけるPayPayのシェアが、約67%を占めたと胸を張る(年間決済金額と決算回数双方のシェア)。

民間会社インフキュリオンが発表した「決済動向 2023年上期調査」でも、個別の決済サービスのうちPayPayの利用率が楽天カードを抜いて首位に立った。

もちろん、スマホ決済自体の勢いも止まらない。経済産業省発表の2022年度のキャッシュレス決済比率の内訳では、コード(スマホ)決済が2.6%と、電子マネー(2.0%)を凌駕した。PayPayは、名実ともにスマホ決済のトッププレイヤーなのだ。

逆にいえば、膨大なユーザーを抱えているからこそ、あれだけの「炎上」が起きたともいえる。ユーザーの利便性を削ってまで自社経済圏に取り込みたいのかと反発を招いてしまった。

経済圏への囲い込みは各社どこでもやっていることだが、「今できていることができなくなる」ことへの抵抗感は大きい。一方的に不利益変更をする会社というイメージはプラスにはならない。

さらに無視できないのは、LINEユーザーの存在だ。PayPayの親会社であるZホールディングスは、10月より新社名を「LINEヤフー株式会社」に変更する。今後、両サービスのシナジーをさらに強めていこうとすれば、現行のスマホ決済であるLINE Pay(利用数が減っているとも聞く)を徐々に縮小し、PayPayへと移行させる流れになるのではないかとも想像する。

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