東京電力、2015年度に待ち受ける不安要因 原油安効果あってもコストが増大

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先行き不透明な経営が続く東京電力。写真は東京・千代田区の本社(撮影:今井康一)

こうしたことを考え合わせると、2015年度の連結経常利益は前年度の2080億円と同程度か多少の減益が見込まれる。1800億円程度と予想するのが妥当だろう。この水準は、再建計画を維持するうえでも最低限の目標となるため、ひとつのメドになる。

廣瀬社長は、電力小売り全面自由化を控えて、「スピード感を持って経営改革を進めたい」と語る。

東電では「電気料金と携帯電話料金とのセット割引」を目標に、ソフトバンクなど通信大手3社との交渉を進めている。「毎月料金を請求するなど、(電力と通信は)親和性が高く、バンドル(組み合わせ)しやすいサービスがたくさんあるはずなので、工夫のしどころだ」(廣瀬社長)。営業エリアが限定されてきた電力会社にとって、全国に営業網を持つ通信会社と組むメリットは大きい。

ただ、通信会社1社と排他的な提携をすれば、その他の通信会社と別の電力会社が組んでしまい、東電が逆に顧客を失うことにもなりかねない。そのため、少なくとも関東では大手3社と全方位での提携を模索する必要があるだろう。通信会社以外にも、ガス会社や住宅リフォーム・修理サービス会社など幅広い業界との提携が想定される。

さまざまな手を繰り出す東電

このほか、4月30日には燃料調達・火力発電事業における中部電力との合弁会社「JERA」を設立。2016年4月からのホールディングカンパニー制に向けた組織再編も進めている。

来年度には社債市場への復帰という目標もある。そのためにも、「2014年度に(単体で)12.1%だった自己資本比率を、2015年末には何としても15%に乗せたい」(文挟常務)。利益を上げると同時に、「不要な資産を除却してスリムにする」(同)考えだ。東電にとって、まだまだ経営効率化の課題は多い。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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