東京電力、2015年度に待ち受ける不安要因 原油安効果あってもコストが増大

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では、業績予想を開示しなかった2015年度の業績はどうなるか。

会社側は、売上高を左右する販売電力量のみ、前年度比1.7%増と予想を出している。冷夏の影響などで3.6%減となった前年度から大幅回復を見込む。景気回復を織り込んだものと見られるが、すでに電力小売りが自由化されている高圧分野での解約が増えており、その取り戻しや、関東域外での新規開拓でカバーできるかが課題となる。

会社側が黒字体質化への必須項目とする、柏崎刈羽原発の再稼働については、今年度も実現が見込みにくい。6、7号機の新規制基準の適合性審査を2013年9月に申請し、原子力規制委員会での審査会合を重ねてきた。しかし地震や重大事故対策の評価が難航し、依然として審査終了のメドが立たない。地元の新潟県知事も「福島原発事故の原因究明が不十分」として、再稼働を認めない姿勢を変えていない。

東電は2012年9月に電気料金を値上げした際、柏崎刈羽1、5、6、7号機が2013年度から、同3、4号機は2014年度から順次再稼働するものと仮定して原価計算をしていた。だがその想定が狂ったことで、代替である火力発電の燃料費が急増。これを人件費や燃料費の削減、修繕費の一時繰り延べなど、コスト圧縮を上積みすることで、追加値上げもなく経常黒字を達成してきた。

今年度も原発が再稼働しない前提とすると、コスト削減で黒字維持を目指すのが基本路線になる。再値上げについて会社側は、「原発再稼働がないとしても、2015年中の値上げはしない」(数土文夫会長)と昨年末に宣言している。業績次第で2016年以降の再値上げの可能性を残しているが、来年4月から始まる電力小売り全面自由化に伴う競争激化を考えれば、再値上げは難しい。

修繕費が増える可能性大

再稼働時期が未定、値上げも厳しいとなると、今後もコスト削減が欠かせない。まずプラス要因として、昨年来の原油やLNG(液化天然ガス)価格の低下が挙げられる。燃料価格の増減は、数カ月のタイムラグを経て燃料費調整制度を通じて電気料金に反映されるためで、東電ではこの時間差により今後1000億円程度の利益が見込まれるという。

ただ2015年度のコスト削減余地について会社側は、「見通しを出せない」(文挟誠一常務執行役)と名言を避ける。2014年度は修繕費を中心に、緊急避難的にコストを繰り延べたため、2015年度はその反動でコストが増える可能性を示唆している。また、経常利益が改善したことで、機構に対する負担金の増加も想定しておく必要がある。

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