「45歳の誕生日にプロポーズ」させた彼女の"手腕" 理想とは反対の男性に惹かれていき…

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一方の順二さんはひたすらに優しく、雅代さんが手配したデートプランを一緒に回ってくれる男性だ。見下されていら立つようなことはない。

ある夜、順二さんは通勤用のリュックサックに仕事の資料を背負ったまま登場した。残業帰りだという。

「散々歩かせた後にリュックを持ってみたらすごく重くてびっくりしました。それなのに彼は一言も文句を言わずに私の後を嬉しそうについてきたんです……」

自分の意外な長所や美徳を気づかせてくれる人こそ

順二さんには姉と兄がいて、その姉と雅代さんの雰囲気が似ているらしい。長女の共通点なのかもしれない。次男にして末っ子の順二さんは雅代さんの「自分とは違って明るくて前向きなところ」を尊敬しているようだ。年上だからといってリーダーシップを発揮するとは限らない。

筋書き通りに誕生日にプロポーズしてもらい、20年以上前のトラウマを払拭した雅代さん。結婚生活でも主導権を握り続けている。

「生活費はすべて折半で、それぞれローンを組んで購入したマンションは共同所有です。家事は私がやっていますが、夫は頼めば何でもやってくれます。私が帰ってくると、〇〇をやったよ!と嬉しそうに報告してくれるんです」

雅代さんは姉のような母のような笑顔で新婚生活を描写してくれる。婚約をする前に子宮がん検診にひっかかり、子宮を摘出する決断をした。順二さんはちゃんと向き合って結婚に進んでくれた。

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「5年前に結婚した私の妹には子どもがいて、いいなあと思っていました。子どもがいない人生を送ることは想像していなかったのですが、今はそれでも幸せになろうと思っています」

精力的な実業家である父親に長く憧れてきた雅代さん。結婚相手の男性にも同じものを求めてきたが、人生経験と良きコーチによって自分自身の中に父親に似た力が備わっていることに気づいた。そして選んだのは、自分には少ない可愛げを持った男性だった。

雅代さんは以前より肩の力が抜けているはずだ。だけど、精神的に安定して力強さは増しているのだろう。自分が持つ意外な長所や美徳を気づかせてくれる人こそ、結婚相手としてふさわしいのかもしれない。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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