「とりあえず」という上司がデキない明確な理由 部下の仕事量を意味なく増やしている

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「聞いたところで親身になって教えてくれるものなのか」と疑問を持つ人もいるでしょう。しかし、いまは「助け合い」が当たり前の時代です。特にY世代、Z世代の人にはその意識が浸透しています。助け合い、学び合いましょう。

X世代の人であっても、改まって聞かれたら、親身になってアドバイスをしてくれるのではないでしょうか。また、日頃からSNSなどを活用し、社外とのつながりを持っておくことも重要となるでしょう。

答えのない問いに対して、いくら机の前でうなっていても無駄です。あるいは、書籍や雑誌、ネットなどで成功事例を集めることもあまり意味はありません。それはあくまで「他社の話」であり、「蒸留されたきれいごと」。「我が社の事情」を汲んでくれているわけではありませんし、「本音」を伝えてくれるものでもありません。

いわゆる「ロジカルシンキング」の手法を使い、課題の因数分解をするマネジャーもいます。結果を丸で囲んで、その下に4つくらいの原因を丸で囲って書き、線でつなぐ。ツリーのような形状になり、これがロジックツリーと呼ばれているのはご存じの通りです。

確かにこれは、考える際のガイドラインにはなります。しかし、そこから「答え」が出てくることは、永遠にありません。思考の整理の道具としては使えますが、それだけです。

ちなみに「まずはとにかく『仮説思考』」という時の「まず」とはどのくらいの時間軸なのでしょうか。

仕事は「最初の2週間」で決まる

私の経験からは、3カ月の検討が必要な仕事、あるいは3カ月で結果を出さなければならない仕事であれば最初の2週間で、かなり正解に近いという自信の持てる最終仮説を作り上げるというのが1つのメドとなります。少なくとも最初の1カ月で最終仮説が決まっていないと、その後の2カ月のマネジメントは、とてもしんどくなります。

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あるいは、2週間で勝負をつけるようなもっと短期の仕事なら、最初の2日間くらいで最終に近い自信のある仮説を作るといったイメージです。

「こんなもんかな。落とし所は」とつぶやけるような、かなり正解に近いという確信を持てる仮説に到達できれば、チームメンバーを漂流させることもなくなり、マネジャーも精神衛生上、ぐっと楽になります。

私は「リーダーは頑張らない」ことを目指すべきだと思っていますが、初速だけはある程度「頑張る」必要があります。ただ、それをやることで、あとの仕事は大いに楽になります。「最初だけはとにかく頑張る」という「仕組み」を導入する、と考えましょう。

山本 真司 山本真司事務所代表、立命館大学大学院経営管理研究科専任教授

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やまもと しんじ / Shinji Yamamoto

慶應義塾大学経済学部卒業、1987年シカゴ大学、シカゴ・ブース・スクール修了(MBA with Honors)、ボストン・コンサルティング・グループ、A.T.カーニー、アジア戦略グループ代表、ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン東京事務所代表パートナーを歴任。約30年にわたる企業戦略コンサルティング経験。2012年まで早稲田大学スポーツ科学大学院客員教授、2011~21年経営管理研究科客員教授。2022年より現職。

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