「とりあえず」という上司がデキない明確な理由 部下の仕事量を意味なく増やしている
だからこそ、必要なのは仮説。とにかくまずは仮説です。
仮説思考という言葉は聞いたことがあっても、具体的に何を指すのか、ピンとこない人もいるでしょう。私の考える実務的仮説思考とは、「いまここにある情報だけを頼りに、現段階でベストだと思う『答え』を考えること」です。
たとえば、「売上を2倍にするには、営業ルートを思い切って変える必要があるのではないか」「商品構成を大幅に見直し、売る商品を絞ったほうがいいのではないか」といったものが「仮説」に当たります。
それが、本当に正しい答えかどうかはわかりません。あくまで「仮置きの案」でOKです。しかし、いったん仮説ができたら、その仮説が正しいかどうかを検証することだけに絞って、次の情報収集、分析作業をすることができます。
チームメンバーも「何を調べれば良いのか」「何を分析すれば良いのか」がわかります。「とりあえず」という言葉の下に、あらゆるデータを片っ端から調べるような時間の無駄を避けることができます(こうした全数調査的な調査方法を、「悉皆(しっかい)調査」と呼びます)。
1つの仮説がダメなら、次の仮説を作る
作業の結果、仮説が反証されて、違うとわかったら、すぐに次の仮説を作ります。仮説の方向が正しいことは検証されたが、どうも仮説が粗く、ぼんやりしていると感じたならば、どんどん仮説を具体的なものに落とし込んでいきます。こうして、仮説を進化させていくのです。
もちろん、仮説ですから絶対に正しいということはあり得ません。しかし、できるだけ精度の高い仮説を立てたいものです。
そのための「仕組み」をお伝えしましょう。それは、同じような課題に悩んだことのありそうな同僚、先輩、他業界の仲間と連絡を取って、「あなたなら、どうするか」と聞いてみることです。特に現場感をしっかり持っている人に聞くと良いでしょう。
私が所属していたコンサルティング業界の組織的強みの1つはここにありました。大体、どの会社でも、マネジャーは仮説作りのために、類似の仕事経験のある世界中の仲間に連絡しまくります。そして、自然にこうした「情報を提供し合い、学び合う」文化が出来上がっていました。そう、「フラットな組織による情報の共有」です。
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