「とりあえず」という上司がデキない明確な理由 部下の仕事量を意味なく増やしている
「とりあえず」は最悪のセリフ
有能なマネジャーの仕事は「初速勝負」です。何か新しいプロジェクトを始める際、新しい期の初め、何か課題が発生した時、「初速」をいかにつけるかを意識して仕事ができるか否かで、その後の成果が大きく変わってきます。
だからこそ、一番最初に紹介したい仕組みがあります。それは「まずはとにかく仮説思考」というものです。
さて、もしあなたが3名のチームメンバーを与えられて、「売上倍増作戦を2カ月で立てるように」と求められたとします。しかも、マネジャーのあなたも3名のメンバーも、営業現場での通常業務を抱えながらの追加要請です。あなたはまず、何をしますか?
一番よくあるのが、「とりあえず、なぜ売上が大きく上がらないのか、調べてみてくれ」「とりあえず、他社で売上が上がったケースをリサーチしてみてくれ」といった指示ではないでしょうか。
これは「最悪の初手」です。
私の「史上最凶のマネジャー」時代の仕事の指示の仕方が、まさにこれでした。メンバーたちはなんのヒントもない中でひたすら情報を集める。そして、マネジャーである私に持っていくと、「こういう他の可能性もあるんじゃないかな?」「うーん。もっと面白い話ないかな。インパクトに欠けるね」「とりあえず、『これだ!』ってものを探してよ」というような、曖昧さを極めたような指示を返される。そしてメンバーは、再び調査、ヒアリング、データ分析を繰り返す……。
彼らはおそらく、「何が『面白い』のかの定義をしてくれ」「こんな指示なら誰でもできる」「あなたは評論家、批評家じゃないですよ。マネジャーですよ」という思いを押し殺しながら仕事をしていたことでしょう。いま、思い出しても我ながら情けない限りです。そもそも「とりあえず」というのは、「私はなんにも考えていないから」と言っているのと同じなのです。まさしく、「ウルトラ放し飼い」のマネジメントです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら