(第61回)電力を多用せずに豊かになる方法は?

(第61回)電力を多用せずに豊かになる方法は?

日本経済の条件は、東日本大震災によって一変した。

最大の変化は、電力不足による制約である。今年夏に電力が確実に不足するため、東京電力管内の電力使用量を25%程度圧縮するための方策が模索されている。

これは、今年夏だけで終わる問題ではない。原子力発電所の新設が難しくなったことを考えると、長期にわたって日本経済を束縛する可能性が高い。エネルギー価格の上昇は全世界的な問題だが、電力制約は日本が最も厳しい。省電力型経済構造への転換が、焦眉の急である。

日本以外の国では、電力の輸入や輸出が行なわれている(輸入国は、イギリス、イタリア、オランダ、スウェーデン、アメリカなど。輸出国は、スペイン、ドイツ、フランス、中国、カナダなど)。ところが、日本は地理的条件のために、電気を輸入することができない。それどころか、西日本と東日本とでの融通さえできない。電力不足は日本経済にとって強い足かせとなっている。

いま一つの大きな変化は、為替レートの変動である。欧米での金融緩和終結との見通しから、このところ円安が進んでいる。しかし、復興投資が本格化してくれば、資金需要が増大して金利が上がり、円高になる可能性が高い。そうなれば、国内の輸出産業の利益は減少する。

こうした事態に対処するには、第59回で述べたように、製造業の海外移転を進める形で復興を行うのが合理的だ。これまで本連載で主張してきたのは、日本の脱工業化と外国人専門家の受け入れである。この実現は、今回の大震災によってまさしく緊急の課題となった。

産業構造と電力消費は関連する

電力消費は、貿易構造や産業構造と密接にかかわっている。製造業の比率が高く輸出に依存する経済では、国内でのエネルギー消費が多くなる傾向がある。しかし、脱工業化が進んで輸入が増えれば、GDP当たりのエネルギー消費は減るはずである。

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