これを国際比較で確かめてみよう(下グラフ)。青色のグラフはGDP当たりの最終エネルギー消費量、赤色はGDP当たりの電力使用量である。いずれも、日本を1とする指数で示してある。この数字が1より高ければ、日本と比べエネルギーや電力の使用が非効率的であること(1単位のGDPのために日本より多くのエネルギーや電力を消費していること)、1より低ければ日本と比べ効率的であることを意味している。
まず注目されるのは、中国のエネルギー効率が著しく悪いことだ。これは、非農業部門で製造業の比率が高いこと(サービス産業の比率が低いこと)と、石炭など効率の悪いエネルギー源に頼っているためと思われる(最終エネルギー消費量中の「固形」の比率が、日本28・7%に対して中国は77・5%である)。
韓国も、中国ほどではないが、効率が悪い(韓国の「固形」比率は、34・4%)。それに対してヨーロッパ諸国は、概して日本よりエネルギー効率がよい。
とりわけ注目されるのは、イギリスだ。GDP当たりの電力使用量は、日本の42%でしかない。こうなるのは、他のエネルギー源への依存が高いことにもよるのだろう。しかし、総エネルギーで見てもGDP当たりで日本の90%しか使用していないのだから、産業構造と貿易構造の違いが影響していると考えられる。
イギリスの場合、経済の中で金融業を中心とする高付加価値サービス業の占める比率が著しく高い。そして、貿易収支は傾向的に赤字である。こうした構造のために、少ない電力使用で経済活動が成り立っているのだ。