エホバの証人の宗教2世には、パートやアルバイトで働き、親と同居しながら布教活動に勤しむ人が少なくないという。ダイキさんは、雇用環境が比較的安定し、年金もそれなりに受給できる親世代はいいが、現在30―50代の2世たちがこれから年をとったらどうなると思いますか? と問いかける。「私を含めて生活保護(の受給)、まっしぐらですよ」。
関西地方のある地方都市で生まれ育った。ダイキさんが3歳のとき、子育てに悩んでいた母親が信者による訪問をきっかけに入信。次いで父親も信者となった。離婚や死別、難病といった不幸に見舞われたわけではなかったという。
以来、家庭訪問や集会に連れていかれるようになり、中学に入ってからは柔道の授業に参加することや、カラオケボックスに行くことを禁じられたが、特に抵抗感はなかった。
大学進学を両親から反対された
今年に入り、元2世信者らが告発している親によるむち打ちについては、ダイキさんも小学校低学年ごろまで経験した。いうことを聞かないと、月1回ほど革のベルトで叩かれたという。ただこれもトラウマになるほどの記憶はないといい、「報道されているような度を越えたやり方は問題です。ただ私の場合は親のしつけの範囲でした」と語る。
学校の成績は学年トップクラス。ダイキさんの人柄もあり、信者以外の友人との関係も悪くなかった。仲よくなった友達に、近い将来ハルマゲドンが来て世界は終末を迎えるのだと主張すると、「そんなバカな話があるか」と返されたものだが、それで疎遠になるということもなかったという。
初めてのつまずきは、大学進学を両親から反対されたこと。
ダイキさんは高等専門学校(高専)に進学。そこで数学の面白さに触れる。信者として「文明の利器が破壊されたハルマゲドンの後に最も役立つのは数学の知識のはずだ」という思いもあった。大学に編入して数学を極めることと、信仰を抱き続けることは、ダイキさんの中ではなんら矛盾しなかった。しかし、エホバの証人では、信仰によくない影響を与えかねないなどの理由で、高等教育を受けることは推奨されていなかったという。
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