池上彰氏「私は新聞をこうやって読み比べている」 新聞はどこも同じではなく、論調の違いがある

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記事が小さいからといってバカにできません。後々大きな問題に発展し、重要性に気づくこともあるのです。

新聞からは「伝える」コツを学ぶこともできます。

新聞は見出しやリードだけで、あらましを理解できるように作られています。

見出し→リード→本文という流れは、忙しい読者が効率的に情報を入手できるよう洗練されてきた構造です。

本文も5W1H(Who、When、Where、What、Why、How)をストレートに伝えているだけではありません。起承転結という流れではなく、いきなり結論から入ったり、衝撃的な証言を冒頭に持ってくることもあります。つまり、出だしの部分、いわゆる「つかみ」に工夫がこらされています。

新聞には知識を蓄積していくインプットの力はもちろん、アウトプットの力も磨けるヒントが詰まっているのです。

今から50年くらい前、私が学生だった頃、『◯◯新聞』という題字を隠してしまえばどこの新聞だかわからないと言われたものです。つまり、新聞が違っても、書いてあることはどこも同じというわけです。

たとえば、1959〜60年、1970年の二度にわたって行われた、日米安全保障条約の改定をめぐる政治闘争、いわゆる「六〇年安保」のときの新聞報道です。デモ隊が国会議事堂に突入し、機動隊と衝突して、一人の女子学生が死亡しました。

新聞ごとの論調の違いはどのように出てきたのか

この事件について、在京新聞7社が「暴力を排し議会主義を守れ」と、まったく同じ文言の社説を掲載しました。この「7社共同宣言」は地方紙にも広まりました。

この事件が起こるまで、日米安全保障条約をめぐる社説は、新聞によって主張が異なりました。それが突然、まったく同じになってしまったのですから、当時は大きな議論を呼びました。

現在はどうでしょう?

憲法改正、原発再稼働、沖縄の基地問題など、新聞によって論調が分かれていることが多いのではないでしょうか。

大雑把にいえば、「朝日・毎日・東京」がリベラル・左、「読売・産経」が保守・右、真ん中に「日経」があるといった構図でしょう。

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