低迷する「どうする家康」一転して盛り上がる必然 家康は「築山殿事件」をどう乗り越えるのか
それ以外でも、豊臣秀吉や石田三成(中村七之助)を筆頭に著名な登場人物が多く、歴史上の重大事件が起きるたびに、それぞれがどんな姿を見せていくのか。阿部寛さん演じる武田信玄に続いて岡田准一さん演じる織田信長が退場したあとも、パワーダウンの心配はなさそうです。
女性の生き様も丁寧に描く古沢良太
折り返し地点から後半戦の残り半年間、安心して見られそうな最大の理由は、脚本を手がける古沢良太さんの存在。これまでドラマ「リーガル・ハイ」「デート~恋とはどんなものかしら~」「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ系)や、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」「キサラギ」「ミックス。」「THE LEGEND & BUTTERFLY」などを手がけてきた業界トップクラスの脚本家です。
手がける作品のジャンルを問わないうえに、定評があるのは、視聴者を徹底して楽しませようとするエンタメ性の高さ。制作統括の磯智明さんが、「時代考証の先生方がうなるほど歴史史料や取材資料と格闘していた」とコメントしていたように、ここまでの物語でも史実をベースにしつつ、そこに至る心の動きを丁寧に描こうとしている様子が伝わってきます。
なかでも特筆すべきは、女性たちの描き方。大河ドラマでは「史料の少ない女性の描き方が難しい」と言われていますが、むしろ古沢さんはそれを楽しむかのように、女性たちの生き様を積極的に交えることで殺伐とした戦国の物語に彩りを添えています。
実際ここまでの物語では、家康の妻・瀬名だけでなく、娘・亀姫(當真あみ)、嫡男・信康の妻・五徳、母・於大の方(松嶋菜々子)、信長の妹・お市、今川氏真の妻・糸(志田未来)、瀬名の幼なじみ・田鶴(関水渚)、武田の間者・千代(古川琴音)、忍の女大鼠(松本まりか)などの姿が、男性たちの言動に影響を与える背景として描かれてきました。
そもそも「どうする家康」は、徳川家康の英傑伝や、「誰が天下を獲るか」のサバイバルがメインの作品ではないのでしょう。家康だけでなく家臣や家族を含めた“徳川家のホームドラマ”というムードがあり、序盤から徳川家が一歩ずつ成長を重ねていくという形で推移しています。その一歩一歩が積み重なった終盤、徳川家の絆はどれくらいのものになっているのか。徳川家という単位で楽しめるのも、古沢さんの脚本ならではの魅力でしょう。
史実に基づく物語は参考資料が多く途中参加しやすいため、「まだ見ていない」「何話か見逃した」という人も、折り返しのターニングポイントとなる23~25話と、壮大な展開が予想される後半戦に注目してみてはいかがでしょうか。
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