低迷する「どうする家康」一転して盛り上がる必然 家康は「築山殿事件」をどう乗り越えるのか
これまで瀬名は「悪女」として描かれることの多いキャラクターでした。しかし今作では、明るく穏やかで戦のない世を願う魅力的な女性として描かれるなど、大幅にイメージチェンジ。また、心のバランスを失い狂ったように戦う息子・信康のために「自分がひと肌脱ごう」という母としての強さも感じさせています。
演じた有村さん自身の印象も重なって視聴者の人気も高いだけに、最期のシーンまで好イメージは貫かれ、家康にどんな表情でどんな言葉をかけるのか。それとも、可能性こそ低そうなものの、裏では戦を繰り返す家康たちに失望して見限っているのか。いずれにしても、有村さんの熱演が期待されるとともに、放送後は「瀬名ロス」「有村架純ロス」の声が飛び交うのではないでしょうか。
ところがターニングポイントを過ぎた7月からの後半戦でも、そんな悲劇にも負けない重大事件が連鎖していきます。
「鎌倉殿」義時と似た成長物語
放送前から制作統括の磯智明さんが、「戦国フルコース」と語っていたようにここまで、桶狭間の戦い、三河一向一揆、金ヶ崎の戦い、姉川の戦い、三方ヶ原の戦い、長篠・設楽原の戦いなどが立て続けに描かれてきました。
今後、描かれるであろう主なものだけでも、本能寺の変、山崎の戦い、小牧・長久手の戦い、小田原合戦、関ヶ原の戦い、大坂の陣など、これまで以上の大戦がズラリ。さらに戦だけでなく、伊賀越え、関東移封での江戸入城、五大老や征夷大将軍となるなどの見どころが多く、絶望を経て覚醒した家康がどんな姿を見せるのか。つまり、後半戦では「どうする?」という悩みや迷いがスケールアップするだけに、松本潤さんの演技はこれまで以上に注目されるでしょう。
思えば昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も主人公・北条義時(小栗旬)は、序盤こそ戦を怖がる野心とは無縁の田舎侍でしたが、仲間や主君・源頼朝(大泉洋)との悲しい別れを経て、自らが怖さを放つ存在に一変し、武士トップに登り詰める様子が称賛を集めました。
ここまでの家康と松本さんは義時と小栗さんに似たルートをたどってきているようにも見えるだけに、松本さんが築山殿事件という絶望をどう表現し、そこからどのように怖さを醸し出していくのか。まだまだ忍耐力を試されるようなシーンは多そうですが、頼りない振る舞いで周囲に「助けなきゃ」と思わせていた家康の変身が楽しみでなりません。
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