GFCIでは、各都市の「フィンテック」競争力もランキング化しており、東京は29位と大きく出遅れています。ここで参考になるのが韓国・ソウルです。ソウルの総合ランキングは、4年前は36位でしたが、最新版では10位まで上昇しています。
ソウル市は、汝矣島(ヨイド)の国際金融センター整備など、金融都市機能全体の底上げを進めていますが、中でも、注力しているのが「フィンテック」への取り組みです。ソウルの「フィンテック」競争力ランキングは、3年前に初めて30位圏内に入った後、最新版では12位まで上がり、総合ランキング上昇に貢献しています。
次世代金融のカギとなるフィンテックへの積極的な取り組みもあり、ソウルは、GFCIの「今後成長が期待される国際金融都市」ランキングでも1位になっています。
フィンテックに対する各国・各都市の取り組みは本格化してから時間があまり経っていません。東京もフィンテックへの資源の集中投資といったやり方次第で巻き返しも十分可能だと思いますし、言い換えれば、「多様性の欠如」という欠点を抱える東京の打開策はこれしかないと考えています。
総花的な取り組みでは勝てない
東京都は、2017年に「国際金融都市構想」を打ち出し、国もこれをバックアップしています。しかし、取り組みが成果につながらないのは、世界の動きが早いことに加え、世界の金融機関や金融パーソンが何を求めているのかを正確に把握できておらず、PR活動への傾斜など、対応が表面的かつ総花的だからではないかと筆者は考えています。
2019年の香港騒乱の時、「世界の金融機関が、香港を脱出して、東京に来る」と期待する声が国内で多く聞かれましたが、当時、筆者が、知り合いの香港や欧米の金融関係者に聞いても、「東京への移転」という声はほとんどありませんでした。その後、香港の地位は揺らぐどころか、「中国本土のゲートウェイ」としてのポジションをますます強めています。
東京は、日本人が思っているほど、世界から求められている訳ではないのです。日本の1人当たりGDPは、今や世界30位まで落ち、このままでは、近々、韓国や台湾にも抜かれるような状況です。「日本は凄い」「世界は東京に憧れている」という時代はとっくに終わっています。
この現実をしっかり認識し、何が問題なのか、相手が何を求めているのかを謙虚に認識し、改善すべき点は地道に改善し、ここぞという分野に資源を集中投入していく。対応策はこれしかないと思います。
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