「人口世界一」インドが経済大国になるという幻想 製造業が弱すぎ「人口ボーナス」を生かせない

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インドの国際的な存在感が増している。3月に岸田首相はインドを訪問し、モディ首相を広島サミットに招待した(写真:Bloomberg)

広島で開催中の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)には、インドのモディ首相も招待されています。5月21日には、インドと日本、アメリカ、オーストラリアの協力枠組みである「クアッド」の首脳会合が開かれることが報じられています。

インドに対しては、日本やアメリカのパートナーとしての期待が高まる一方で、ロシアによるウクライナ侵攻への対応や気候変動問題などでは先進国と異なる立場を取っています。国際政治上の影響力の増大と相まって、インドの動向には、かつてないほど注目が集まっています。

インドは中国に続くことができるのか

そのインドが、今年半ばにも中国を抜いて、人口世界一になるという予測が国連から発表されました。これを受け、インドの経済成長の加速にも期待が高まっています。しかし、本当に、インドは、中国に続くような経済大国になるのでしょうか。筆者はかなり懐疑的にみています。

人口は、その国の経済力や成長力を左右する大きな要因です。人口を見る際には、その「規模」に目が行きがちですが、「先行き」や「質」も重要です。

人口の「規模」は、国の経済力の大きさにつながります。国民の豊かさを示す一人当たりGDPをみると、インドは世界145位ですが、人口が多いので、国全体のGDP総額は世界第5位です。経済力が大きければ、国際社会における存在感や発言力も大きくなります。

「先行き」は、今後の増減見込みです。国連の推計によれば、インドの人口は、2060年半ばに約17億人に達するまで増加が続くので、あと40年近く、経済成長への貢献が期待できます。

そして「質」とは、年齢構成です。経済成長の原動力となるのは、15歳から64歳までの「生産年齢人口」です。全人口に占めるこの年齢層の割合が高まれば、経済に活力が生まれ、成長が促されます。

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