再生エネルギー比率30%が実現できる理由

どうする電源構成<1> 東京理科大・橘川教授

――ご自身は小委の中で「原子力15%、再エネ30%、火力40%、コージェネ(熱電併給)15%」という電源構成を提唱していますが、その理由は。

まず重要なのは再エネ30%ということだ。再エネ:原子力で2:1ぐらいにする。再エネが2割強では、麻生政権時代の目標とあまり変わらず、「3.11(福島原発事故)」がまるでなかったかのような話になる。

「FIT(固定価格買い取り制度)だと国民負担が重くなるし、スペインもドイツもやめつつある。だからFITは行き詰まるから、再エネはダメだ」などとも言われる。しかし、FITは最初の立ち上げ段階での効果を狙ったもので、2030年までFITに頼っていては再エネなんて入らない。再エネをどうやって市場価格ベースで導入していくかが大事だ。

きっかわ・たけお●1975年、東京大学経済学部卒業。83年、東京大学大学院経済学研究科単位取得退学。経済学博士。青山学院大学経営学部助教授、東京大学社会科学研究所教授を経て、2007年一橋大学大学院商学研究科教授、15年から現職。経営史学会会長。専門は日本経営史、エネルギー産業論。総合資源エネルギー調査会総合部会委員などを務める

私は再エネ30%のうち、水力、バイオマス、地熱で15%、太陽光と風力で15%と考えているが、太陽光と風力は発電コストがかなり安くなっており、あとは送電線のコスト。だが、コストを市場ベースに引き下げる方法はある。

第一に、廃炉にする原発の送電設備の利用だ。40年運転規制で行けば30年には約30機が廃炉になる。もちろん、その送電線の一部は火力用になるが、かなり余ってくるはずだ。これを太陽光、風力拡大に使えばいい。おかしいと思うのは、廃炉会計の見直しを議論する際には廃炉が前提になっているのに、メガソーラーの受け入れ見直しの議論などでは廃炉を一切前提にしていないことだ。都合がいいように使い分けている。原発推進に有利なように土俵を替えながら議論しているようなものだ。フェアではない。

再エネ比率30%は実現可能

第二には、そもそも送電線に乗せる量を減らすこと。分散型で地産地消の再エネを増やすことで、送電線へ負荷をかけないことだ。事務局は、太陽光、風力の出力変動の穴を埋めるのは全部火力であり、しかも石油火力になるとコストが高いと脅しをかけているが、まずは水力で埋めるべきだ。全国各地にあるダム式水力を動員することで、再エネを再エネで出力調整する。ちなみに、ニュージーランドは全電力の75%をFITなしの再エネで賄っており、水力50%、地熱15%、風力その他で10%といった構成だが、風力などの出力変動の調整はすべて水力で行っている。

第三には、送電線をつくることをビジネスモデルとして確立することだ。東北や北海道で送電線をつくると費用がかさむというが、ちゃんと利用すれば十分回収できるはずだ。電力会社はネットワークでコアコンピタンスを追求するビジネスモデルに変えていく必要がある。個人的に東電は柏崎刈羽原発を動かせないと思うので、東電あたりからそうした会社になっていくのではないか。発送電分離で最も確実に儲かるのは送電事業だ。

こうした3つの対策をとれば、市場ベースで再エネ30%の世界は十分実現できるはずだ。米国の中西部や豪州、ニュージーランド、北欧の一部など、市場ベースでの再エネ普及を実現している地域こそベンチマークとするべきだろう。

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