――原発比率15%を提唱する根拠は何ですか。
40年廃炉原則にのっとれば、2030年には原発比率は15%程度になる。古い原発よりも新しい原発のほうが当然安全性は高いので、15%の枠内でリプレース(建て替え)をしていくというのが私の考えだ。運転40年を60年に延ばすのは延命措置のようなもの。今の小委は、原発が重要で人材確保も必要だと言いつつ、リプレースの議論を避けている。
――リプレースには反対しないと。
新設(新しい立地)は考えていないが、更新には反対していない。ただし、2030年以降も長期的に15%を維持すべきかどうかは、バックエンド(放射性廃棄物の処理)の問題次第だ。この問題が解決できないならば、2050年ぐらいに原発ゼロとなる蓋然性もかなり高いのではないか。国が前面に出ようが出まいが、最終処分場を決めることは非常に難しい。本気で原発を維持していく気があるならば、オンサイト(原発敷地内)の乾式中間貯蔵をいま真剣に議論する必要がある。こうした議論のない原子力政策などありえない。
電気料金の帰趨決める火力のコスト削減法
――火力発電の課題はどう考えていますか。
電源構成の中では今後も火力が最大のウエートを占める。電気料金の帰趨を決める最大要因は、原発でも再エネでもなく、火力の燃料費といえる。火力燃料費を抑えるにはどうするか。一つは、一番コストの安い石炭を使うことだが、ただちにCO2の壁にぶつかる。もう一つは、シェールガス革命の中で、いかに安く天然ガスを買うかだ。
原発を2030年までに30機廃炉にすると約30ギガワットのベースロード電源がなくなるが、電力総需要が変わらないとすると、5ギガワット程度を石炭で、25ギガワット程度を天然ガスで埋めるのが現実的だろう。ただ、石炭を5ギガ増やすのもCO2の問題からして大変なので、外国に技術移転してCO2を減らした分は国内に石炭火力を建てていいといった縛りが必要だろう。
天然ガスについては、東電と中部電力がLNGを年間約4000万トン共同調達する方向だが、規模は大きいほうがいいわけだから、関西電力や東京ガス、大阪ガスなどが対抗軸などとは言わずに一緒に7000万トンのアライアンスを組めばいい。LNGの輸入量で1位の日本と2位の韓国で全世界の50%を超えるので、日韓協力、さらに台湾、中国を入れた東アジア諸国が協力してバイイングパワー(購買力)を効かせる方法もある。本当はこういう議論をすべきであって、原発と再エネばかりに目を奪われるのは問題だ。
経産省がベースロード電源の中に天然ガスを入れないのは、それを入れると一発で原発の比率が下がってしまうからだ。しかし、3.11以降に天然ガスが一部ベースロード電源として使われてきたのは紛れもない事実であり、将来的にもミドル電源だけでなく、ベースロード電源として使われるのは間違いない。
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