②オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは、通常のコンタクトレンズよりもカーブが弱いハードコンタクトレンズを使用して、一時的に角膜の形状を平らにし、ピントが合う位置を後方にずらす治療だ。
近視の人は眼底(眼球を真上から見た場合の底の部分)にある網膜よりも前方でピントが合うが、毎晩睡眠前にこのハードコンタクトレンズを装着することで、一時的に角膜の形状が平らになり、網膜でピントが合う。
翌朝コンタクトレンズを外しても、一定時間角膜の形状は保たれるので、日中は裸眼で過ごしても遠くが見える。
裸眼視力を矯正する方法として大人も行っている治療だが、子どもの場合は、近視抑制の効果も期待できる。小中学生を対象とした複数の研究では、メガネを使用したグループと比べて近視の進行が30~50%抑えられたといった報告がある。
「進行抑制を目的とした治療は視力を回復させるわけではないので、本人が効果を実感するのは難しいのですが、オルソケラトロジーの場合は、日中メガネを使用しなくてもよく見えるようになります。このため本人が効果を感じられ、治療の継続につながりやすくなります」(大野医師)
対象となるのは、近視度数-4D(ジオプトリー)まで(メガネの処方箋やコンタクトレンズの箱にも記されている数値)。
デメリットは、レンズを適切に管理しないと、角膜感染症を引き起こすリスクがあることだ。子どもが使う場合は、大人が管理して洗浄などレンズのケアをすること、定期的に受診して目やレンズの状態をチェックすることが不可欠だ。
費用は両目で10万~25万円。1~2年に1回レンズ交換が必要となる。
老眼用コンタクトで進行抑制
③多焦点コンタクトレンズ
多焦点コンタクトレンズは、老眼矯正のための遠近両用コンタクトレンズとして使用されているものだ。遠くを見ても近くを見てもピントのずれが起きにくいため、眼軸長の伸びを抑える効果を期待できる。
ただし、通常のコンタクトレンズと同様に日中に装用するため、自分で管理できる中学生以上が対象となる。
「通常の使い捨てコンタクトレンズに、進行抑制の効果が加わったのが多焦点コンタクトレンズです。ただし子ども用の多焦点コンタクトレンズは日本では承認されていないため、老眼用の多焦点コンタクトレンズを使用することになります。多焦点コンタクトレンズは比較的年齢の高い子どもに使用するため、サイズが合わないといった問題が出ることはほとんどありません」(大野医師)
費用は通常の使い捨てコンタクトレンズと大きな差はない。
こうした進行抑制の治療はいつまで続ければいいのか。「身長が伸びている期間は、継続して使用することをおすすめします」と大野医師は言う。
そのほか最近、世界的に注目されているのが「レッドライト治療法」だ。
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