【近視】国内で受けられる治療と期待の最新医療 専門家「大人になる前の治療が重要」の理由

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レッドライトは太陽光にも含まれている赤い光で、近視の進行を抑える効果があることが明らかになっている。

太陽光を浴びると網膜の中でドーパミンという神経伝達物質がつくられるが、ドーパミンは、古くから近視を抑制する作用があるといわれている。

近視の進行が9割抑制の報告も

レッドライト治療法は、レッドライトを発する機器を1回3分、1日2回、目に当てることで近視の進行を抑制する。まだ新しい治療だが、この治療を1年間受けた子どもは、治療を受けていない子どもに比べて近視の進行が約9割抑えられたといった報告がある。

「これまでの進行抑制の治療に比べると、かなり効果が高いことから、世界的に大きな注目が集まっています。実施方法も簡単なので、小学校低学年くらいの子どもでも負担なくできます」

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大野医師のグループは、8~18歳の強度近視がある子どもを対象に、2022年から臨床試験を開始している。

「まだ試験段階で長期的にみていく必要がありますが、驚くような効果を実感しています。近視ゼロの世界も夢ではないかもしれないと期待しています。今後は長期的安全性を調べていく必要があります」

なお、近視の進行を抑える治療は、どの眼科でも実施しているわけではないので、治療を希望する場合は事前にホームページなどで確認したい。また、これらの治療はいずれも自費診療となる。

近視の人は多いうえ、進行抑制の治療となると、今後も保険診療になることは考えにくい。高額療養費などは適用されないため全額自己負担となってしまうが、医療費控除は受けられるので、治療を受けた医療機関などで相談してみよう。

関連記事:【子どもの近視】今すぐできる進行予防行動2つ

(取材・文/中寺暁子)

東京医科歯科大学眼科学教室教授
大野京子医師

1987年、横浜市立大学医学科卒。1990年から東京医科歯科大学眼科医員に、2014年から現職。専門は強度近視、網膜・視神経疾患。日本近視学会理事長を務める。日本眼科学会専門医指導医。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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