コスモ社長「村上さん側の主張は株主還元に終始」 「再エネ分離」迫る旧村上ファンド提案に猛反論

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コスモHDは売る側ではなく、むしろ買う側だ。エネルギー事業者はいま、化石燃料に代わる次の成長ドライバーとして再エネに大きな期待を持っている。今まで少しずつ再エネ事業を育ててきて、さあこれからという時になぜそれを奪われなければいけないのか。成長ドライバーを売却することでほかの株主の皆さんは腹落ちするのか、というのが一番の問題だ。

――とはいえ、再エネ事業を収益柱に育てるのは時間がかかります。

再エネ事業は白地のところからスタートするわけではない。陸上風力でそれなりの基盤は築いてきた。風力発電事業で2030年に設備容量150万キロワット超の達成を目指す中で、90万キロワットが陸上風力、60万キロワットが洋上風力だ。

いま実際に稼働しているのは30万キロワットの陸上風力だが、これを膨らませつつ、洋上風力で収益基盤をつくりあげていく。もちろんやり遂げる自信はある。洋上風力は実際に収益があがるのは早くても2030年だが、入札はもう始まっている。全部は取れないにしても一定程度落札していくつもりだ。

彼らの主張は株主還元に終始している

――結局、シティ側は早期のイグジットを狙っていると考えていますか。

「経営に関与するつもりはない」というのは彼らも言ってはいる。ただ一定程度の株式を取得すれば、ものすごい影響力を持つ。資産売却(再エネ事業の分離・上場)などで得たキャッシュを自分たちのイグジットの財源にすることは十分あり得ると思っている。

これまでの彼らの主張を並べてみると、ほぼ株主還元に終始しているように見える。われわれは再エネ事業にある程度時間をかけてきちんと収益基盤を確立したいが、彼らはいま売って還元しろと言っているように聞こえる。

もちろん還元もするが、将来に向けた投資も含めてきちんと企業価値を拡大していけるような施策をとらなければならない。そこをなかなかご理解いただけないというところが大きな溝になっている。再エネの分離にしても、では分離して、どうやってグループ全体の経営価値が上がるかをお示しいただきたいというのが本音だ。

彼らが20%以上株を持つということは、経営に対する責任も一定程度生まれてくる。われわれが言っていることと村上さん側が言っていることと、どちらがコスモHDの企業価値を拡大できるかを株主の方々に判断していただきたい。

森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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