NTTとJERA、再エネ3000億円買収ではじく皮算用 洋上風力入札「第2ラウンド」を巡る思惑も錯綜

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建設工事が進む石狩湾新港の洋上風力発電事業。完成時には国内最大規模となる見込みだ(写真:JERA)

「再エネバブル」の宴は当面、終わりそうにない。

5月18日、NTTアノードエナジーとJERA(ジェラ、東京電力ホールディングスと中部電力の合弁)は再生可能エネルギー発電事業者のグリーンパワーインベストメント(GPI)を共同でアメリカのエネルギー企業から買収すると発表した。

買収金額は3000億円規模で、NTTが8割、JERAが2割を負担し、今年中に取得を完了する。NTTは5月に発表した新中期経営計画(2023~2027年度)で再エネ関連領域に5年で約1兆円を投資する方針を示している。再エネ事業を拡大したい反面、電源開発能力が手薄なNTTにとってGPIの買収は渡りに船だった。

足元では、大金を投じて再エネ企業を買収する動きが活発になっている。2022年1月には石油元売り最大手のエネオスホールディングス(HD)が1912億円を投じて再エネ大手のジャパン・リニューアブル・エナジーを取得。

2022年5月には、総合商社の豊田通商も1850億円をかけて国内風力発電最大手のユーラスエナジーHDを完全子会社化。さらに豊田通商は2023年4月28日にソフトバンク系の再エネ大手、SBエナジー(現、テラスエナジー)の株式85%を取得し子会社化している。

相次ぎ洋上風力に巨額資金を投じるJERA

中でも際立つのがJERAの動きだ。同社は2023年3月にベルギーの洋上風力発電大手、パークウインドを約15.5億ユーロ(約2300億円)で買収することを公表したばかりだが、今回のGPI買収にも名を連ねた。東電HDと中部電力の火力発電事業を統合し成立したJERAは、脱炭素の逆風を最も受ける企業の1つだ。

日本最大の火力発電企業として、国内の発電量の約3割を賄うとともに、二酸化炭素(CO2)排出量では日本の約1割を占める。そのため、既存の発電所の脱炭素化対応とともに再エネ電源を拡大できるかは、同社にとって死活問題と言える。大金を積んででも再エネ開発にノウハウを有する会社を買収し、時間を買うことで脱炭素に向けた事業構造の転換に対応しようとしているのだ。

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