JERAが「火力発電の脱炭素化」にこだわる理由 奥田久栄社長に聞く「アンモニア発電」の勝算

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JERAの碧南火力発電所(愛知県碧南市)。最大出力410万キロワットの大型石炭火力発電所で、アンモニア混焼発電が計画されている(写真:JERA提供)

東京電力ホールディングスと中部電力の折半出資で設立されたJERA(ジェラ)は、日本最大の火力発電企業だ。日本の発電量の約3割を賄うとともに、二酸化炭素(CO2)排出量では日本の約1割を占める。日本は「2050年カーボンニュートラル(脱炭素化)」の実現を国際公約としているが、その成否のカギとなるのがJERAの取り組みだ。4月に経営トップに就任した奥田久栄社長に、脱炭素化実現への戦略を聞いた。


――2023年4月に札幌市で開催されたG7気候・エネルギー・環境相会合では、「2035年までに電力部門の完全または大宗の脱炭素化の達成」という文言が共同声明に盛り込まれました。また、「排出削減対策が講じられていない化石燃料のフェーズアウト(段階的廃止)を加速させる」とも明記されました。こうした動向をどう受け止めていますか。

今までの石炭火力発電に加え、天然ガスにも焦点が当たってきた。一方で「段階的な廃止」という言い回しになっている。当社は再生可能エネルギーの大量導入と火力発電におけるゼロエミッション(CO2排出ゼロ)化の組み合わせにより段階的に脱炭素化を進めていくという戦略を持っている。その点ではポリシーを大きく変更する必要はない。

石炭の代わりに脱炭素燃料としてのアンモニア、天然ガスの代わりに水素を使用し、段階的に置き換えていく。電力の安定供給を維持しつつ、無理のない形でエネルギートランジションを進めていくことが重要だ。そのために一生懸命にアクセルを踏んでいる。

アンモニア発電の道筋

奥田久栄(おくだ・ひさひで)/JERA社長CEO兼COO。1988年に中部電力入社後、経営戦略本部事業戦略グループ部長などを歴任。2019年JERA常務執行役員経営企画本部長などを経て、2023年4月から現職(撮影:梅谷秀司)

――どのような取り組みを進めていますか。

(発電量当たりのCO2排出量が多く)特に風当たりの強い石炭火力発電については、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアを20%混ぜて燃やす実証試験をこれまで重ねてきた。今年度末に実施する最後の実証試験が成功したら、2027年度もしくは2028年度を目標に20%混焼の商業運転に踏み切る。並行して50%以上の高混焼用のバーナーの開発も進めている。こちらについても2020年代後半には最後の実証試験を終える。

そうすると2030年代初めには(50%以上の)高混焼が可能になり、石炭火力からのCO2排出量が大きく減る。こうした取り組みと並行して洋上風力発電などの再エネ導入を全力で進めていく。ゼロエミッション火力と再エネの組み合わせにより、安定供給を損なうことなく、無理のない形で脱炭素化を実現できると考えている。

――その場合、G7の共同声明に盛り込まれた「2035年までに電力部門の大宗の脱炭素化」は達成できますか。

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