洋上風力、「公募入札のルール変更」に異論噴出 大幅見直しは三菱商事の総取りを防ぐため?

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洋上風力の公募入札ルールの見直しを進める経済産業省(撮影:今井康一)

2021年12月10日に始まった秋田県八峰町・能代市沖の公募入札手続きは一転、2022年3月18日に唐突にやり直しが決まった。「再エネ主力電源化の切り札」と期待を集めていた洋上風力発電が思わぬ事態に巻き込まれつつある。

所管する経済産業省と国土交通省によると、ロシアによるウクライナ侵略を踏まえて、洋上風力発電所の「早期稼働を促す公募内容とする」ためだという。

ほどなく、経産省と国交省による洋上風力に関する審議会で公募ルール見直しに関する議論が始まったが、この議論が混迷を極めている。5月23日の審議会では政府から見直し案が提示された。これが事業者を選ぶ評価基準を大幅に変更するものだったため審議会の委員からは疑問の声が出たのだ。

同日の審議会では、委員である外苑法律事務所の桑原聡子パートナー弁護士は政府が提示した見直し案について「これまでの議論や第1ラウンド(初の大型洋上風力の公募入札が行われた秋田、千葉県の3海域)の結果の評価を踏まえた適正な方向性といえるのか疑問に思う」と指摘。

加藤浩徳委員(東京大学大学院教授)も「そもそも(洋上風力の公募入札が)どうあるべきかという議論を飛ばして、細かいルールにいきなり入っている印象」と発言。根本の認識についてすり合わせが不十分なまま、評価基準の見直しを進めることに疑問を呈した。

公募入札ルールを見直す背景

なぜ、役所は突然の公募入札の中止を決め、公募入札ルールの大幅な変更を進めようとしているのか。切っても切り離せない関係にあるのが、2021年12月下旬に公表された秋田県、千葉県の3海域(第1ラウンド)の公募入札結果だ。

この入札では国内外からそうそうたる企業が参加した。千葉では東京電力リニューアブルパワー(RP)が洋上風力大手のデンマーク・オーステッドと組んで札を入れた。他の海域でも大手電力会社や商社などがそれぞれコンソーシアムを組んで参戦。どこの海域もほとんど点差がつかない接戦が予想された。

だが、結果は三菱商事などで構成するコンソーシアムの圧勝だった。他事業者に圧倒的な大差をつけて3海域を総取りしたのだ。

今度は第1ラウンドに続く、案件として公募入札手続きに入った秋田県八峰町・能代市沖に注目が集まった。評価基準が第1ラウンドと同様であることから、「三菱商事が勝つのが濃厚」(他の洋上風力事業者)だったためだ。だが、3月に公募入札自体をやり直すことが決まり、評価基準も見直すことが決まった。

では何を見直すのか。ポイントは大きく2つある。

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