洋上風力、「公募入札のルール変更」に異論噴出 大幅見直しは三菱商事の総取りを防ぐため?
1つ目は発電所を早期に運転開始する計画を提示した事業者に対してインセンティブをつけるというものだ。合計240点のうち80点で事業者の実績や施工計画などについて評価することになっていた。この80点の評価内容を刷新し、80点中20点を運転開始時期で評価するとの案が役所から提示されている。
この運転開始時期の迅速化はそう簡単な話ではない。一般的に洋上風力発電所の運転開始までには6、7年を要するとされている。どの事業者が案件を勝ち取ったとしても基礎を打ち、風車を据え付ける工事期間に大きな隔たりが生じるとは考えにくい。大手商社や電力、石油会社が案件を獲得したとしても実際に工事を行うのは大手ゼネコンになるとみられているからだ。
早期運転開始を実現するポイント
では、どこで運転開始時期に差をつけられるのか。1つには環境アセスメント手続きがある。これは洋上風力発電所を建設した場合、周辺にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを調べる作業で、4年程度を要する。
あらかじめ入札がかけられそうな海域の環境アセスメント手続きを進めておけば、無理な工期を設定しなくても運転開始時期を早めることができる。
これは反面、事前にさまざまな海域に環境アセスメントをかけておいた事業者に大きく加点するということでもある。となれば、有望な海域では環境アセスメント手続きを進めようと各事業者が一層入り乱れることになる。
異なる事業者によって海上での調査が繰り返され、事業者ごとに住民説明会が行われることになれば、地元に負担をかけるだけでなく混乱を招きかねない。
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