「炭素利益率が高い企業」ランキングTOP100社 少ない温室効果ガスで利益を出す会社はどこか

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注目される炭素利益率の企業ランキングを紹介(写真:Joshua Leach/Getty Images)

数多くある非財務情報の中でいま最も注目されている情報の1つが二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)排出削減だ。2026年度には「排出量取引」が本格稼働するとされており、企業の排出量により新たな負担が増え、業績に影響していく時代になるとみられる。そこで、今回は脱炭素時代を見据え、注目指標となる可能性が高い「炭素利益率(Return On Carbon:ROC)」をご紹介する。

炭素利益率は営業利益をGHG排出量で割って算出。GHGは自社が直接排出するスコープ1と、使用電力などの間接排出のスコープ2を使うことが一般的だ。この数値が高ければ、今後、炭素排出に伴う炭素税などのカーボンプライシングが導入されても、新たに発生するコストを現状の利益水準で対応でき、財務面での余裕度が高いと判断できる。

この考えに基づき、連結優先の3期平均営業利益(2022年3月期まで)と『CSR企業総覧(ESG編)』2023年版掲載のGHG排出量(2021年度のスコープ1+2)を使いGHG排出量1万t-CO2以上の金融機関を除く一般事業会社を対象に上位100社のランキングを作成した。

ランキング上位企業の取り組み

ランキング1位は大東建託で4775.5(百万円/千t-CO2、以下同)。3期平均の連結営業利益1047億円に対してGHG排出量21.9千t-CO2で計算。仮に排出量1トン当たり1万円の炭素税が課せられた場合、1000トンで1000万円(=10百万円)となる。ROCは1000t当たり4775.5百万円なので、「影響は10÷4775.5で比較的軽微だ」といった使い方が想定される。

『CSR企業総覧』(東洋経済新報社)。書影をクリックすると東洋経済STOREのサイトにジャンプします

同社はスコープ1+2の排出を2030年までに2017年度比で55%削減を目指す。自社グループの賃貸集合住宅の使用時に排出されるCO2排出量(スコープ3)の16%削減も目標として掲げる。生態系や生物多様性に悪影響を及ぼす木材の調達をしない、植林費用の地方自治体への寄付など生態系および保護価値の高い森林の保護にも努めている。

2位は中外製薬で4468.3。GHG排出量69.7千t-CO2に対して3期平均の連結営業利益は3112億円だった。電力使用量の多い国内工場・研究所で水力発電由来の再生可能エネルギー電力への転換を推進。再エネ利用率は63.2%と561社中32位という高い水準となっている。グループで2050年の排出ゼロを目指し、2030年に60~75%削減という段階で取り組みを進める。

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