NTT、異例タッグに賭けた「日本勢復権」への道筋 KDDI、楽天とも提携、新技術で「6G」での覇権狙う
「競争するのではなく、オープンイノベーションで連携したい。そのほうが、6Gに向けて日本としてもメリットがある」
KDDIの大谷朋広・技術戦略本部長は4月25日、大阪市で開かれた「IOWN(アイオン)グローバルフォーラム」の年次総会の場で記者団の取材にそう強調した。
「連携」したい相手とは、同じ通信キャリアで、最大のライバルでもあるNTTだ。KDDIは3月、同フォーラムへ正式に参加し、NTTとともに研究開発分野などで提携する方針を明らかにしていた。
IOWNは、NTTが中心となって開発を進める光技術を活用した通信基盤だ。第1弾となる低遅延通信サービスが3月、NTT東日本とNTT西日本から発売され、吉本興業など十数社へ提供が見込まれている。
【2023年5月9日11時58分追記】初出時の一部表記を上記の通り修正しました。
IOWNの普及を目指す同フォーラムは、2019年にNTTがソニーグループ、インテルとともに設立した。2023年4月時点で118の組織・団体が加入している。今後は参加企業同士で、さらなる技術や活用事例の開拓を進める。
2030年頃をメドに商用化が見込まれる次世代通信規格「6G」においてIOWNの技術を標準規格とすることを目指し、参加企業でもIOWNの技術を使った製品・サービスを提供していく方針だ。
競合するキャリア各社と異例の提携
フォーラムには、KDDIや楽天モバイルも参画するほか、一部報道によればソフトバンクも参加を決めたという。
国内の各キャリアは、元国営企業として通信市場で圧倒的な存在感を誇るNTTとあらゆる場面でしのぎを削ってきた。そのライバル勢が今回、6Gでの競争という大舞台で、いわば“NTT陣営”に属する形で異例の提携を交わしたことになる。
フォーラムの顔ぶれの中には、初期メンバーのインテルのほか、マイクロソフトやアクセンチュアなど名高い外資系企業も並ぶが、実質的には日本勢の存在感が強い。参加する組織・団体のおよそ7割を日本企業が占める。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら