埼玉・小川町メガソーラー、事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景

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メガソーラーの設置をめぐる、地域や住民とのトラブル案件は少なくない(写真:YsPhoto/PIXTA)
この夏で創設11年となる再生可能エネルギーの固定価格買い取り(FIT)制度。日本の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を飛躍的に伸ばした反面、太陽光発電では土砂災害、景観、自然環境破壊を懸念する地域住民との紛争が絶えない。経済産業省資源エネルギー庁は4月3日、認定失効の可能性が高い大量の案件について失効確認作業を本格化、失効分の公表を始めた。失効案件の一つ、経済産業相が厳しい勧告を出した埼玉県の「さいたま小川町メガソーラー」を例に、失効をめぐる事情を探った。

事業者は失効回避に自信を見せていた

さいたま小川町メガソーラーは、国の環境影響評価(環境アセス)制度に基づいて手続き中。2022年2月、事業者による環境アセス準備書に対し、経済産業相が事業の抜本的見直しを求める異例の勧告を行い注目された。

事業者は、小川エナジー合同会社(埼玉県寄居町、代表社員=株式会社サンシャインエナジー、職務執行者・加藤隆洋氏)。官ノ倉山と石尊山の一部、約86ヘクタールに太陽光パネルを敷き、出力約3万9600kWの発電を行う計画だった。

1月29日の小川エナジーの説明会では住民がさまざまな疑問をぶつけた(撮影:河野博子)

1月28、29日の両日で小川エナジーは事業計画地近くの公民館で住民説明会を開き、経済産業相の勧告を受けて事業計画を変更すると説明した。勧告は約72万立法メートルという大量の盛り土を行い、その約半分にあたる土砂を外から搬入するという点を問題視した。

当初計画された盛り土の量は、2021年夏に起きた静岡県熱海市の土石流の起点となった源流部に盛り土された量の10倍以上。また、周辺の農家には有害物質を含む建設残土が持ち込まれるのでは、との懸念もあった。

説明会で事業者は計画変更を明らかにした。

①外からの建設残土の搬入を一切中止する
②パネル設置方法を工夫し、地面に垂直に立てる架台を利用して傾斜をつけて並べる

 

会場からは事業の現実性や持続性について質問が相次いだ。それにひるむことなく加藤代表は「認定の失効にはならない。(固定価格で電気を買い取ってもらえる期間の)20年間事業を行える」と自信を見せた。

認定失効制度には、事業者側が失効を回避する手立ても用意されている。一定の期限までに電力会社の系統につなぎますという「系統への着工申し込み(系統連携着工申込書)」を出し、受領されることが失効回避の一つのステップになっている。

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