こうしてファミレスで2時間程度食事をし、会計になった。しょうたろうが会計している横をさちこは素通りして外に出た。しょうたろうが出ていくと、笑顔で言った。「ご馳走さまでした。次は私がお店選びをしますね」。
そしてその夜、「次は、ここに行きましょう」と、最低料金が2万円のコースから始まる高級レストランのリンクを送ってきた。
しょうたろうは私に言った。「お財布を出すそぶりも見せなかった。ファミレスだからいいと思ったんですかね」。
結局、しょうたろうはファミレスデートの翌日にさちこには交際終了を出し、2万円のコースのレストランに行くことはなかった。まみとは今でも交際が進んでいるが、食事をすると、彼女は必ず自分のぶんは払おうとするそうだ。
2日間で使った食事代が15万
ゆうじ(51歳、仮名)は、関東で不動産業を営んでいる年収約3000万円の経営者だ。20代で結婚して30代で離婚しているが、子どもはいない。この年齢の高収入男性の多くは「子どもがほしい」と言いがちだが、ゆうじにはそうした希望はなく、「これからの人生をともに歩いていけるパートナーを探せたら」と、婚活をスタートさせた。
いくつかお見合いをして、都内でサロンを開業している、さや(52歳、仮名)と交際に入り、彼女をとても気に入ったようだった。
彼女もバツイチだったが、年齢よりも10歳は若く見える美人で、スタイルも抜群。所作もファッションも垢抜けていて、これまでゆうじが接したことがない華やかなタイプだった。
「前のダンナさんもかっこいい人だったんだろうな。僕なんか相手にされないかもしれないけど、頑張ります」
ゆうじは、さやにすっかり夢中になっていた。なんとか彼女の気持ちを手に入れようと、マメにLINEをしたり、デートを重ねたりしていた。
一方、さやはすでに2人の子どもが独立しているものの、今のサロンは賃貸なので、月々の家賃や生活費を自力で稼ぎ出さないといけない。結婚後はどこに住んでもいいし、どこで開業してもいいと考えていたので、不動産業を営んでいるゆうじは、条件的には格好の相手だった。
ただ、見た目がタイプではなかったようで、最初はそんなに乗り気ではなかったようだが、彼の一生懸命さに、だんだん気持ちを寄せてくるようになった。
ところが、さやの気持ちがどんどん温まっていくにつれて、のぼせていたゆうじの熱が急速に冷めていった。
5回目のデートを終えたところで、「ちょっと相談があります」と、ゆうじから連絡があった。事務所にやって来たゆうじの顔は浮かなかった。そして、こうぼやいた。
「とにかくデートにお金がかかるんですよ。僕は都内の気の利いた店を知らないから、彼女に店選びを任せていたんですけど、どこもいい値段で。先週は、土日で続けて会ったら、食事だけで15万円近く使ってしまった。僕の経済力だと彼女と付き合っていくのは難しいかなって」
「その2日間のうち、彼女から『ここは、私が出します?』という言葉はなかったんですか?」と聞くと、ゆうじは「なかったですね。『半分払います』とか、そんなのもなかった。ただ10代・20代じゃあるまいし、この年の男が女性にお金を出させるのはみっともないじゃないですか」と答えた。
そこで、私はゆうじに言った。
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