都内ホテルのティーラウンジは、週末になるとどこもお見合い客でいっぱいになる。
午前中のお見合いは、10時、11時と切りのいい時間から始まるので、その時間になると、これからお見合いをすると思われる男女や仲人が、ラウンジ入り口付近にたむろしたり、行列を作って並んだりしている。
ティーラウンジで口論
その日、私はお見合いをする会員男性と一緒に列に並び、女性の到着を待っていた。どうやら私たちの前に並んでいた男性も、これからお見合いをするようだった。腕時計をチラ見しながら、目線を上げては女性を探していた。そこへ女性がやってきて、男性に話しかけた。
「あ、もしかして吉田さん(仮名)?」
「はい、そうですけど。山本さん(仮名)ですか?」
「そう。今日はよろしくね」
こう言って彼の隣に女性が並んで会話を続けた。「吉田さん、下の名前、何ていうの?」。
すると、ムッとしたように男性が言った。「お見合いで下の名前を教えるのは、交際になってからですよね」。
「えっ? 教えてくれないの? なら別にいいけど……」
今度は明らかに彼女の声がムッとしていた。
結婚相談所での婚活の場合、登録サイトに会員番号は出ているが、名前は出ていない。住んでいる所も市や区まで。それ以上の詳しい番地、電話番号、メールアドレスなどの個人情報は記載されていない。
これは個人情報を保護し、SNSなどで検索できないようにするためだ。
お見合いが成立すると、初めて苗字だけ相手に告げられる。その後、お見合いをして交際になると、初めてフルネームと電話番号の交換となる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら