記者クラブの防衛担当記者に軍事報道はできない 大臣発言を検証もせずに報じる新聞メディア

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射撃訓練をする陸上自衛隊の16式機動戦闘車(写真:kuni.y / PIXTA)

5月27日付の沖縄タイムスは以下の記事を公開した。

「自衛官の健康面で問題」 暑い沖縄に展開想定される16式機動戦闘車 一部に空調装置を搭載へ (沖縄タイムス)

これは5月25日の参院外交防衛委員会での浜田靖一防衛大臣の発言を報じたもので、16式機動戦闘車へのエアコン装備を見出しにも使ってスクープのごとく扱っている。だが、実はすでに3年前に公開されている情報だ。しかも大臣の発言も疑問がある内容だった。それを分析もせずにそのまま報じている。

■以下、沖縄タイムス記事の引用
浜田靖一防衛相は25日の参院外交防衛委員会で、2023年度から、陸上自衛隊の16式機動戦闘車(MCV)の一部に空調装置を新たに搭載すると明らかにした。有事などにMCVの展開先として想定される沖縄など南西諸島は、時期によっては気温が高くなるため、隊員の健康影響を考慮した。高良鉄美氏(無所属)に答えた。
浜田氏は、17年度から19年度に配備されたMCVに空調装置はなかったと説明。MCVは航空機で運べる機動性に優れていて、空自のC2輸送機による空輸の観点から「重量増となる空調装置は搭載していなかった」と理由を述べた。
一方、展開が予想される南西地域での隊員の健康問題に着目し、20年度からは「空輸に問題ない形で装置を搭載したMCVを配備している」と答弁した。

初めて明らかになったわけではない

まず、16式に途中からエアコンが入ったのは、筆者が本サイトで3年前にすでに報じている(自衛隊装甲車「エアコン装備が後れすぎ」の面妖)。調査報道であるが、防衛省にも裏を取って書いた記事だ。今回初めて明らかになったわけではない。

その後も筆者はJapan In-depthなどでこのエアコンの話は何度も書いている。さらに防衛大臣会見でもたびたび関連の質問をしている。

そもそも16式は島嶼防衛で活用されるとされていた。にもかかわらずエアコンは装備されなかった。16式にエアコンが装備されるようになったのは財務省から、気温の高い南西地域での有事に際してエアコンなしでは戦えないだろう、エアコンを装備しないのであれば予算をつけないと通告されたからだ。防衛省が主体的に動いたわけではない。

「軍事の専門家」よりも財務省のほうが軍事常識をわかっている、という話だ。防衛省や陸上自衛隊幕僚監部(陸幕)が運用構想を見直した結果ではない。

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