部下や家族が話しやすくなる「言葉選び」のコツ 「簡潔かつ具体的」が相手との距離を近づける

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【後輩が思い悩んでいる様子を見て】

ユウタ:ヒロト、元気ないな。俺がなんでも聞くよ。話してみな。

ヒロト:ありがとうございます。でも、なんでもないです。大丈夫です。

【ついつい言いがちワード】
なんでも聞くよ

・こんなふうに言ってみよう!

◯◯で困ってるなら、相談にのるよ

放課後なら、話を聞く時間があるよ

先輩として、後輩の元気がない様子に気づいて声をかけてあげるのは、とてもすばらしいことですね。でも、「なんでも聞くよ」という声かけは、少し漠然としすぎているようです。言われた後輩も、うれしい気持ちはありつつも、「なにをどんなふうに相談していいかわからない」というのが、正直な気持ちではないでしょうか。

「なんでも聞く」では、逆に相談しにくい

「なんでも」という言葉には別の意味でも注意が必要です。たとえば、「そんなことは自分で決められるだろう」というささいなことまで、いちいちSNSのメッセージでこまかく相談されても困ってしまいますよね。

「なんでも言って」と制限を設けないことは、一見、頼りがいがあってベストな言い方に思えます。しかし、「なんでも」への感覚が人によって違うことも多く、あとからお互いに「こんなはずではなかった」となってしまうこともよくあります。

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悩んでいそうな相手に声をかけるときは、具体的な問題に焦点を当ててみると、相手も相談がしやすくなります。たとえば「元気がないけれど、部活でなにか問題を抱えている?」と言われると、より悩みを打ち明けやすくなるでしょう。

もうひとつ、相談に対応できる時間を伝えるのもポイントです。「いつでも言ってきてね」と言われると、いつなら時間があるのかがわからず、迷っているうちに相談する機会を逃してしまうというケースも多いはずです。

「放課後だったら、時間があるよ」「水曜日の部活のあとの1時間くらいなら、話を聞けるからね」と言えば、相談に行くタイミングが計れて、心理的なハードルが低くなります。

あまりしつこくなにがあったかを聞くより、相手が自分から話すのを待つことも大切です。悩み相談では「相手の話を聞いてあげること」がいちばん求められることであり、もっとも重要なことです。

アドバイスや経験談を話すのであれば、後輩の話をじっくり聞いてからということも忘れないようにしましょう。

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大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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