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最速決算レビュー!主要業界・企業の明暗【前編】 自動車、工作機械、鉄鋼、商社、半導体、通信…

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全26業界・135社の注目企業の業績と予想を一覧。『会社四季報』の記者がどこよりも早いレビューをお届けする。

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5月29日発売の週刊東洋経済では「四季報記者が教える決算書の読み解き方」を特集

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日経平均株価が3万円台を回復し、バブル後最高値を更新し続けている。世界的には金融引き締めによる景気減速懸念が台頭する中、海外投資家の視線とマネーは日本市場に注がれている。

日本株が再評価された背景には、コロナ禍からの経済活動の再興やインバウンド需要の急回復のほか、直近で本決算を発表した日本企業の相次ぐ好業績が挙げられる。

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いわゆる「業績相場」の様相だが、実際にどんな企業が業績を伸ばし、どの部分が成長のポイントになっているか、把握しているだろうか。そして何より、実際の決算書の中身を見て自分なりに分析・判断し、投資などに生かせているだろうか。

そうした「業績を見る力」は、株式投資だけでなく、ビジネス上の取引先や出資先の実力を見極めるうえでも欠かせない。もし、「何となくわかっているが、腹落ちしていない」感覚なら、今が学び直しのチャンスだ。5月29日発売の週刊東洋経済では「四季報記者が教える決算書の読み解き方」を特集。決算書攻略の基礎から応用まで、わかりやすく解説していく。

各社の決算を細かく分析すると、明暗が見えてくる。本記事では3月期決算企業が発表したばかりの本決算を含め、注目企業の業績と予想を一覧にした。『会社四季報』の記者がどこよりも早いレビューをお届けする。

自動車|混乱した新車生産は回復の兆し

2022年度の自動車メーカー各社は半導体不足などによる新車の生産混乱や原材料高に苦しんだ。その中でトヨタ自動車は原材料高の影響を1.5兆円以上受けたが、円安なども追い風に約2.7兆円の営業利益を確保。日産自動車も販売価格の上昇などで増収増益となった。一方で、ホンダは部品不足で新車生産が伸び悩んだことなどから、4輪事業は減益となった。

23年度は各社が新車生産の回復を見込む。トヨタは販売台数の増加や好採算車種の構成比が改善することなどから営業利益で過去最高の3兆円を計画。ホンダや日産も増収増益を計画する。原材料費などの高騰を背景に新車価格の値上げも相次いでおり、各社の収益改善に貢献しそう。

ただ、最大市場の中国や欧米では急速にEV(電気自動車)シフトが進む。中でも中国はBYDなど新興メーカーが次々とEVを投入するなど存在感を高めている。トヨタ、ホンダ、日産の日系大手3社にとって中国は主力市場の1つで、販売台数を積み上げられるかは焦点の1つだ。一方で、アジアやアフリカなどでは内燃機関車が主役の市場も多い。今後はどの市場で収益を稼いでいるかで、明暗が分かれる可能性がある。

自動車業界はEVシフトに加え、自動運転やソフトウェアといった新領域の技術開発も迫られている。とくにソフトウェアは新車の購入後の機能の追加や更新に加え、エンターテインメント機能などに新たな価値を見いだす動きが広がる。23年度以降も足元と将来の両にらみの難しい局面が続く。(横山隼也)

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