配当不能に?「評価損」で地銀を襲う新たなリスク 黒字でも債券評価損膨張で「分配可能額」が枯渇
米銀の破綻で注目を集めた有価証券の評価損。決算に直接影響を与えないとはいえ、日本の銀行にとって無視できない、別の問題が出てきそうだ。
米シリコンバレーバンクの破綻の原因となった、有価証券の評価損。同行のポートフォリオが特殊だったこともあり(詳細はこちら)、日本の銀行は静観を続けている。
しかし、かねて指摘されてきた外債はもとより、日本国債を中心とする円債においても、地銀の抱える評価損は膨らんでいる。2022年末に日銀が金融政策を変更したことで円金利が上昇し、保有する円債の価格が下落したためだ。円債は外債よりも保有残高が多く、わずかな金利上昇でも影響を被る。
一般的に、円債の評価損は外債ほど問題視されていない。原資確保のために米ドルなどの外貨を市場から調達する外債と異なり、円債は低金利の預金が原資であり、調達費用が債券利息を上回る「逆ザヤ」が生じないためだ。ほとんどの地銀は評価損が自己資本比率に反映されない「国内基準行」でもあることから、評価損を気にせず満期まで保有する方針だ。
ただし、決算や自己資本比率に影響が生じないからといって、手をこまぬいていられるとは限らない。黒字決算なのに配当ができない――。評価損が拡大し続ければ、そんな状況に陥る地銀がこれから出てくる可能性があるためだ。
評価損が「分配可能額」を削っていく
「うちは大丈夫だけど、規模の小さい地銀は大変だろう」。大手地銀の幹部は懸念を示す。
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