ニコン、880億円買収でカメラ閉塞感打破なるか ドイツの金属3Dプリンタ会社のTOBが完了

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ニコンが金属3Dプリンターの有力企業を買収した。主力のカメラ事業の縮小が止まらない中、業績を救う決め手になるか。

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カメラや露光装置で伸び悩むニコンが目をつけたのは、金属3Dプリンターだった(撮影:尾形文繁)

「ニコン106年の歴史において最大のM&A。かつ、従来型のものづくりから、地球環境に優しい『アディティブマニュファクチャリング』への移行をニコンの技術力で加速しようという、野心的なプロジェクトだ」

2023年2月に開かれたニコンの2022年4~12月期決算説明会。德成旨亮最高財務責任者(CFO)は、ドイツ・SLM社買収の意義をそう強調した。株式公開買い付け(TOB)による買収額は、約6.2億ユーロ(約880億円)にのぼる。SLMはフランクフルト証券取引所に上場するが、非上場化を今後検討する。

SLMは、金属を積層造形するアディティブマニュファクチャリング装置で世界有数の専業会社だ。この装置は一般的に金属3Dプリンターと呼ばれる。型や工具、工作機械を用いた加工と比べ、金属3Dプリンターでは複雑な形状の部品を、少ない部品点数で軽く作れる。

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