ニコン、「安全運転」の経営目標に深まる閉塞感 3年前と同じ目標だが、カメラなど退潮は続く

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カメラや半導体露光装置が苦しいニコンが新たな中期経営計画を発表した。だた、閉塞感を打開する策は乏しい。

4月7日にニコンが発表した新中期経営計画には同社の置かれる苦境がにじんでいた(撮影:尾形文繁)

「数値目標を“確実に”達成したい」。安全運転を強調する馬立稔和社長の一言に、ニコンの苦境がにじんだ。

ニコンは4月7日、2022~2025年度の中期経営計画を発表した。2025年度の売上高を7000億円超(2021年度は5500億円の見通し)、営業利益700億円超(同470億円の見通し)にする計画だ。

前回の中期経営計画(2020年3月期から2022年3月期)で掲げた営業利益700億円超に再挑戦する。説明会で大村泰弘常務執行役員は「今までの経営計画は数字を作ってもすぐに目標からずれてしまっていた。今回の中計は信頼されるものにするということを一番に意識している」と説明した。

中計達成へのポイントは、カメラなどの主要事業の衰退をいかに食い止め、その間に新規事業の稼ぐ力をどう高めるかだ。カメラなど映像事業と半導体向け露光装置などの精機事業で営業利益の9割を稼いでいる。ただ、いずれの事業も今後の成長への道筋が描けない。新中計では代わりに半導体関連の部品ビジネスやヘルスケアなどの新領域を拡大させ、新規事業の比率を2026年3月期に43%まで引き上げる青写真を描く。

方向性は前回中計と変わらず

ただ、これらの施策に新味はない。ほとんどが前回の中計で目指して達成できなかったことへの再挑戦だからだ。ポイントとなる方向性もほとんど変わらない。

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