決算書を読み解くための要となる財務3表。まずは具体的なビジネスの動きと合わせ、構造と概要を把握しよう。
「決算書は、まず財務3表を知ることだ」。上司や先輩からそうアドバイスされたことはないだろうか。財務3表とは、稼ぎや費用、利益の状況を知る損益計算書(PL)、財務状況がわかる貸借対照表(BS)、現金の出入りがわかるキャッシュ・フロー計算書(CS)で構成される。
だが、専門的な用語が多く、苦手意識を抱く人が多いだろう。そこで、「パン屋の経営」をモデルに簡単なストーリーを作成した。その経済活動や現金の動きが財務3表にどう表されるかを見ていこう。
なお、実際の財務3表は決算期ごとに作成され、次のように経営活動ごとには作成されない。
財務3表の流れをつかむ
①4月。トウケイ商事社員のA氏は、パン作りが趣味であることから、新規事業としてパン屋の経営を任された。会社から現金700万円の出資を受け、「トウケイベーカリー」を設立する。
この700万円は財務3表にどう記載されるのか。それは下図のとおりだ。各項の右上がPL、左上がBS、その下がCSだ。
まず700万円は株主が出した「資本金」。この700万円はBSの純資産の部に加え、資産の部の「現金及び預金」(現金)にも計上される。BSでは、お金をどう集めたか、そのお金を何に使ったかが、つねに対になって記載される。
一方、CSでは、財務キャッシュ・フロー(CF)の「株式の発行による収入」に、700万円が計上される。資本金は稼ぎや費用ではないため、PLに動きはない。
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