「連結」「IFRS」…決算書理解にまず必要な前提知識 決算短信に書かれているあのワードの意味とは

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「連結決算」にはどの範囲まで含める? 「日本基準」と「国際会計基準(IFRS)」の違いとは? この知識がなければ決算書は読めない。

決算報告書の書類
(写真:CORA / PIXTA)

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上場企業の決算には「連結」と「非連結(単独)」の2種類がある。決算短信にも種別が明記されている。

企業は業容の拡大を図るため、競合や取引先、異業種企業を買収して傘下に収めたり、自社の1事業で子会社をつくったりする。これらグループ企業の決算書を合算(連結)し、全体の実力を示すのが連結決算だ。

なお、連結ベースで決算を開示している上場企業は、同社個別(非連結)の財務諸表も別途公開している。

連結子会社に含めるかは、出資比率50%超であることが基準になる。だが、50%以下でも対象になることがある。例えば取締役会構成員の過半を自社から派遣しているなど、実質的な支配状態かが考慮される(支配力基準という)。

「少数株主持分」にも留意

さらに、100%保有でない連結子会社については「少数株主持分」にも留意したい。ほかの株主に帰属する分の利益や損失は純利益から除外されるため、連結子会社が大きな稼ぎを上げても、保有比率が低ければ最終的には大して利益貢献していない場合がある。

その会社の決算開示形式が「連結」か「非連結」かは、決算短信の表紙で一目瞭然。有価証券報告書には連結子会社の具体名も一覧で記載されている
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