有料会員限定

小売り業界「出店戦略の差」を決算書から読み解く 自社出店か買収か、方針の違いがCFに表れる

✎ 1〜 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 最新
拡大
縮小

ドラッグストアや外食業界では出店戦略が業績の成否を分ける。決算書から各社の戦略の違いを読み解く。

ウエルシアの店舗外観
コスモス薬品の地盤・九州に攻め入るウエルシアHD

特集「四季報記者が教える決算書の読み方」の他の記事を読む

5月29日発売の『週刊東洋経済』では「四季報記者が教える決算書の読み解き方」を特集。財務3表の構造を基礎から解説するほか、多種多様な企業の決算書を読み込んでいる四季報記者の分析のツボも紹介している。決算書から「会社の実力」を見極めるスキルは、投資にもビジネスにも欠かせない。今が学び直しのチャンスだ。(この記事は本特集内にも掲載しています)

中小企業の大手傘下入りが進み、競争が激化する小売業界。最終的には各領域で2〜3社に集約されるといわれている。ドラッグストアチェーンでも生き残りを懸けた出店競争が激しい。

都心や住宅街の人口密集地域は既存店で埋め尽くされ、郊外では人口減が進む。出店地域が限定される中、各社にとって店舗や土地の確保は急務だ。稼いだ資金は出店に回すため、投資キャッシュ・フロー(CF)では有形固定資産関連のマイナスが膨らむだが、「採算性の合う立地確保が難しくなってきた」。業界各社の幹部からは嘆きが聞こえる。

買収で出店地域を拡大

そんな中、立地確保にはM&Aも有効だ。最大手のウエルシアHDは2022年6月に大阪地盤のコクミンを買収。これまで手薄だった都市型店を獲得した。石川地盤のクスリのアオキHDは食品スーパーの買収で、差別化のカギとなる生鮮食品の販売ノウハウを獲得し業績を伸ばす。

次ページ異色の戦略で業績を伸ばすコスモス薬品
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
四季報記者が教える決算書の読み方
自動車、工作機械、鉄鋼、商社、半導体、通信…
物流、食品、医薬品、外食、鉄道、建設、ゲーム…
超簡単!「パン屋の商い」で財務3表の流れをつかむ
まずは財務諸表の構造をざっくり理解しよう
「連結」「IFRS」…決算書理解にまず必要な前提知識
決算短信に書かれているあのワードの意味とは
損益計算書の勘所、「5つの利益」はこう読み解く
PLは企業経営の「成績表」、儲けの源泉がわかる
自己資本など財務の安定性を測る項目を要確認
PLだけでは見えない現金の流れを確認しよう
投資の幅が広がる「米国企業の決算書」の読み方
「Earnings press release」が決算短信に該当
官報など情報源は様々だが、情報の精査が肝心
プロが見る決算書と関連資料のツボ【前編】
プロが見る決算書と関連資料のツボ【中編】
プロが見る決算書と関連資料のツボ【後編】
環境や従業員対策を決算数字に反映する企業も
投資に役立つ!手軽に決算分析できるツール3選
配当性向から事業別業績まで図表で簡単把握
BSから非財務資本や減損の兆候を把握できる
半導体各社のキャッシュの使途にも大きな違い
自動車業界の決算分析では販売台数を要確認
自社出店か買収か、方針の違いがCFに表れる
利益率はKDDIと同水準も、BSに違いがくっきり
「会計クイズ」で楽しく学ぶ!決算書の読み解き方
大手町のランダムウォーカーが作成、解説する
GWこそ「決算書」の読み解き方をマスターすべきだ
ビジネスにも投資にも欠かせない基本スキル
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内