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通信キャリア大手ソフトバンクの「異色財務」 利益率はKDDIと同水準も、BSに違いがくっきり

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通信キャリア大手のソフトバンクとKDDI。両社の営業利益率は同水準dが、貸借対照表(BS)からは成長の歴史、財務戦略の違いが読み取れる。

ソフトバンクとauの店舗外観
ソフトバンクは2023年3月期は特殊要因でかさ上げ。KDDIはキャッシュ創出力が高い(撮影:尾形文繁)

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通信キャリアで2位、3位と並ぶKDDIとソフトバンク。

2023年3月期の損益計算書(PL)を見ると、両社とも売上高は6兆円弱、営業利益は1兆円強で並ぶ(下図上)。

収益性の指標となる売上高営業利益率も約18〜19%とほぼ同水準。だが、貸借対照表(BS)を注意深く見ると、両社の違いは鮮明だ。

下図下、両社のBSを見てほしい。資産規模はKDDI(11.9兆円)よりも、ソフトバンク(14.6兆円)のほうがやや大きい。

一方、資産の内訳を見ると、ソフトバンクののれん(買収額と被買収企業の純資産との差額)を含む無形固定資産の金額が、KDDIの2.8倍にまで上っている。

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