膨大な資料のどこから何を読み取ればいいのか。「収益力」「将来性」「危険度」という3つの観点から解説する。
日々の仕事で最も多く、かつ多様な決算書に触れている職業の1つは、小社刊『会社四季報』の記者だろう。
同誌は日本で株式上場するすべての会社について、独自の取材情報や業績予想を掲載している。年4回の刊行に向けては、取材前に各社の直近決算の関連資料を読み込み、会社の先行きを占うカギとなりそうな数字や記述に目を光らせる。
見るべき点は個別企業や業界、経済環境によって異なるが、ここでは経営を分析するうえで役立つ普遍的なノウハウを「収益力」「将来性」「危険度」という3つのブロックで解説していく。
将来予測を妄信しない
次に見ていきたいのが「将来性」。成長可能性がどのくらいあるかは株価にも如実に反映される。そのため、とくに投資においては重視されるポイントだ。
決算書から読み取れる“最も近い未来”の予測は、各社が決算短信で開示している「業績予想」だ。これは各社が今年度のゴールをどう描いているか、投資家に表明するもの。
また東京証券取引所では、直近予想より売上高が10%、営業利益、経常利益、当期純利益は30%上下に乖離すると判明した場合、直ちに業績予想の修正を発表するよう上場各社に義務づけている。四半期ごとの決算短信だけでなく、修正のリリースが出ていないかも小まめに確認したい。
ただ業績予想の開示方法は会社によってかなり差がある。
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