もやし買うフリして肉「セルフレジ万引き」の実態 監視カメラ設置より「声かけ」に効果があるワケ

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「もやしのバーコードを紙にはって、輸入菓子とか和牛とか高額商品のバーコードを隠して精算する手口もあります。まるで『もやしパス』ですよ」。伊東さんはあきれ気味だ。

店員はただモニター画面を見ているだけ

大久保准教授によると、これまでスーパーなどのセルフレジコーナーでは、1人のスタッフが片隅に立ち、セルフレジが映し出されるモニターを見ているだけのことが多かった。

「店員も、お客さんではなく、ひたすら画面を見ているわけです。とてもまずい状況です」

大久保准教授は過去にセルフレジでバラ売りのキュウリを買おうとしたが、スキャンの仕方がわからず、店員に聞こうとした。しかし、店員がモニターを見つめていて声をかけにくく有人レジに回った経験がある。

こうした店側の手薄さが万引きを見逃している可能性もあるとして2人は、2022年に香川県警などと共同で「セルフレジ不正使用防止マニュアル」を作成した。マニュアルでは、店側がホスピタリティーを実践しながら、不正使用を防止することが重要とした。その上でセルフレジコーナーでの店員の配置方法や具体的な声の掛け方をまとめた。

大久保准教授と伊東さんらが作成したセルフレジ不正使用防止マニュアル(画像:弁護士ドットコムニュース)

例えば①客がセルフレジエリアに入ったら全てのレジが見える場所に移動する②ホスピタリティー向上へ、「何かお困りですか」など声かけをしてレジ使用をサポートするといったことだ。店員がただ立っているだけの状態を変えるために、店員への教育が大切になる。

また、大久保准教授の調査では、スタッフがセルフレジの間を動き回って声かけをした結果、来店客から声をかけられる回数が以前より増え、客の満足度が上がったという。

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