もやし買うフリして肉「セルフレジ万引き」の実態 監視カメラ設置より「声かけ」に効果があるワケ
スーパーでセルフレジの導入が進んでいる。客にとっては待ち時間の解消に、店にとっては人件費削減など生産性向上につながるメリットがある。
一方で、セルフレジを悪用した万引き被害が大きな問題になっている。セルフレジを舞台にした万引きの実態や、店舗側の対策について香川大学の大久保智生准教授(犯罪心理学、教育心理学)と万引きGメンの伊東ゆう氏に聞いた。
バーコードスキャンをかいくぐる「もやしパス」
大久保准教授と伊東さんはタッグを組み、10年以上前から万引き対策に取り組んできた。警察庁の犯罪統計資料によると、2022年の万引きの認知件数は8万3598件に上る。セルフレジを使った万引きのみの統計はないが、大久保准教授は「セルフレジの普及に伴い、店舗からの相談は増えています」と言う。
セルフレジには、客が商品のバーコードを読み取り、精算まで行う「フルセルフレジ」と、店員がバーコード読み取りまでを行い、客は精算のみを行う「セミセルフレジ」がある。不正使用が問題になっているのは、フルセルフレジのほうだ。
どんな手口が多いのか。伊東さんは「複数の商品を1つにまとめてスキャンし、レジをすり抜けたり、ビールケースなど大型商品をショッピングカートの下に置き、スキャンしなかったりとさまざまです」と説明する。家族で来店し、レジの周りを複数人で囲い込み、外から見えないようにした上でスキャンをかいくぐる悪質なケースもあるという。